第16回日本抗加齢医学会総会は横浜で開催された

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2016年6月10日から12日まで、「日本抗加齢医学会総会」が開かれた。12日のシンポジウム「抗加齢美容医療:手術か非手術か?」では、美容医療分野で増えている「非手術」の実情を、「手術」との比較も交え、美容医療の第一人者たちが解説した。

高い効果が期待できるがデメリットも十分に把握を

最初に登壇したのは、いちだクリニック院長の市田正成医師。皮膚切除による眼瞼形成術などの手術事例を紹介し、「結果がはっきりしており、効果も長期的である点」が手術の最大のメリットとした。ただし、反面「容易には元に戻せない、日常生活に復帰できるまでの時間(ダウンタイム)が長い」というデメリットもあり、近年は手術よりも非手術を希望する人が増える傾向にあるという。

自由が丘クリニックの古山登隆医師は、使い方次第で大きな効果を得られる可能性のある非手術法として、「ボツリヌス毒素製剤/商品名:ボトックスビスタ(R)」注入を解説。眉間や目じりのしわ解消だけでなく、フェイスラインを変えるといった、たるみの治療にも利用が可能だという。

非手術法のメリットだけではなく、デメリットや危険性も理解しておくよう警鐘を鳴らしたのは、湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科の山下理絵医師。安全なイメージがあり、効果が早く得られることから、しわやたるみ治療によく利用される「ヒアルロン酸」注入だが、効果を長く維持するために混ぜられる「非吸収性物質」によって、異物反応によるアレルギーや皮膚が硬くなったり(硬結)、壊死したり、最悪の場合、失明を引き起こすこともある。「非手術は手軽だが、無条件に安全なわけではない。リスクを理解し、やりすぎないことが重要」と注意を促した。

単体では大きな効果はないが、手術や他の非手術法と併用することで、長期的な効果と少ないダウンタイムが実現できる手法として「脂肪注入」を挙げたのは、神戸大学大学院医学研究科形成外科学の一瀬晃洋医師。効果はヒアルロン酸と同等で、生着すれば半永久的に効果が期待できる可能性もあるという。

みやた形成外科院長の宮田成章医師も、単体での効果は少ないが、併用によって満足度が高まる手法として、レーザー機器治療を解説。「大きな効果は求めていないが、きれいに歳をとりたいと考える患者には、簡便で安全な老化マネジメント法として進められるのではないか」と指摘した。

医師がすすめない手法とは...

終盤のディスカッションでは、座長の福岡大学形成外科学主任教授、大慈弥裕之医師が「美容医療に携わる医師としてすすめない手法は何か」と質問。

一瀬医師、宮田医師は、非吸収性物質が混合された製剤を注射するのは非常に危険であるとし、名前をきいたことがある成分だから安全だと考えず、製剤の中身を確認する必要があるとした。市田医師や古山医師も、非手術であっても手術を受ける場合と同様に安全性を重視し、リスクなどは十分に確認するよう訴えた。

 山下医師は、「金の糸」によるスレッドリフトを挙げ、「アレルギーが起こった場合、全切除が困難なため、絶対に受けるべきではない」とコメントしている。

日本抗加齢医学会 シンポジウム27
2016年6月12日(日)
「抗加齢美容医療:手術か非手術か?」
座長:
大慈弥裕之(福岡大学医学部形成外科)
古山登隆(医療法人社団喜美会自由が丘クリニック)
演者:
市田正成(いちだクリニック)
古山登隆(医療法人社団喜美会自由が丘クリニック)
山下理絵(湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科)
一瀬晃洋(神戸大学大学院医学研究科形成外科学/神戸大学医学部附属病院美容外科)
宮田成章(みやた形成外科・皮ふクリニック)

(Aging Style)