「最近の研究で、男性器は5日以上精子を放出しないと新しい精子を作らないことが分かってきたんです」
 こう語るのは、性感研究の第一人者で医学博士の志賀貢氏だ。

 以前、本コーナーでも紹介したペニスの廃用症候群を覚えているだろうか。
 「人間の体は使っていない部分から衰えていきます。例えば、寝たきりの人は、足が細くなります。脳が“もう足を使う必要はない”と勝手に判断して、足の活動性を低下させてしまう。これが廃用症候群と呼ばれるものです」
 ちなみに絶対安静の状態で筋収縮を行わないでいると、人間の体は1週間でなんと、10〜15%も筋力を低下するという。普段、あまり体を動かさない高齢者は要注意だ。

 さて、そんな廃用症候群は男性器にも起こる。
 「加齢とともに『ペニスが小さくなった』と感じている方も多いと思います。これは、若い頃よりセックスやオナニーをする機会が減って、ペニスに刺激を与えなくなったからです」

 名刀も使わなければ錆びる--というわけだ。
 「その結果、自分のペニスに自信がなくなったり、(ペニスが小さくなったことで)パートナーの膣がガバガバになったような錯覚を覚えたりして、セックスがつまらなくなってしまうんです。EDを招く要因にもなります」

 それだけではない。志賀氏曰く、廃用症候群はなんと、精液や精子を製造する睾丸にも起こり、「5日以上、射精しないでいると精子の製造がストップする」という新事実が判明したというのだ。もちろん、精子の製造が止まったからといって、日常生活には何の支障もない。
 「ただし、ここで重要なのは、睾丸には精子製造のほかに、もう一つの役割があるということ。それがズバリ、男性ホルモンを生産する場所ということです」

 男性ホルモンが盛んに分泌されるのは思春期だ。誰もがこの時期、体つきも一気に男らしくなり、声変わりもする。そして、性欲を高めるのも男性ホルモンだ。
 「つまり、精子の製造がストップすることは、性欲もなくなるということなんです」

 意外や意外、精液が溜まると、むしろムラムラしそうだが、実は逆だったのだ。
 「もちろん、射精を我慢することで精液を溜めて、勃起力を高める方法もあります。しかし、溜めていいのは4日まで。それ以上溜めてしまうと、性欲が減退していくんです」

 思えば、多忙のあまり1週間以上、射精をしない生活が続いたとき“最近、ヤル気がしないなぁ”と感じることもあるのでは。長らく射精から遠ざかると、自分が異性に興味を失ったかのように思えてくるのは、まさに男性ホルモンの生産がストップしていた証拠なのだ。
 「言い換えれば、ヤル気が起こらなくても5日に一度は射精したほうがいいということ。スッキリもするし、気分的にヤル気も出てくるはず。本当は、毎日射精するぐらいが一番。それはすなわち、常に新しい精子が製造されて、男性ホルモンも分泌されている状態ですからね」

 しっかりとヌク。これが“死ぬまで現役”の秘訣だ。

志賀貢
医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたセックス&口説き術にまつわる著書も多数ある。