連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第12週「常子、花山伊左次と出会う」第66話 6月20日(月)放送より。 
脚本:西田征史 演出:岡田健


森田屋が深川を去った11週。明けて12週。
常子(高畑充希)が出版社に就職が決まり、前途洋々かと思ったら、いきなり美しい銀色の髪をほどき横しばりにしている滝子(大地真央)。な、な、なんと、再生不良性貧血で寝込むようになっている。けっこうな大病に関するもろもろをすっ飛ばす大胆さに面食らいながら、再びこのフレーズをかみしめる。
「過去に辛い思いをされた経験のある方は、劇中のそういうシーンが見れなかったりする。だから人が悲しむようなものは直接か描かず、観た人ができるだけ救われるような作品にしていきたいという気持ちがあります(後略)」(ユリイカ2012年5月号「テレビドラマの脚本家たち」特集、西田征史インタビューより)

「とと姉ちゃん」での救いといえば、病気になった滝子が、常子の再出発に元気をもらっていることだろう。
常子は出版社で「女がしゃしゃり出て意見を出してもいい」状況に目からウロコ。「ここでは男も女もない」(五反田〈及川光博〉)という言葉まで飛び出した。常子にも希望が・・・と思いきや、青柳の経営難は悪化の一途を辿っているし、世の中も、道の真ん中を歩いているだけで、咎められるような生き辛さ。嫁にいった旧友・綾(阿部純子)からの手紙が、戦争を身近なものにさせる。

心配事もあるけれど、いつも奥ゆかしい常子が、道の真ん中を歩くなと言われた時には毅然と反抗したことを頼もしく感じた。これから襲い来るであろう困難に毅然と立ち向かっていただきたい。
奥ゆかしいといえば、清(大野拓朗)が長くて細い足を閉じて座っているところに、この人物の奥ゆかしさを感じてしまう。男だからって足を広げて座っていないところと、五反田の「ここでは男も女もない」の台詞が

呼応するように感じられた。おそらくこの部分が「とと姉ちゃん」には大事なところで、花山伊左次(唐沢寿明)のモデル花森安治の女装も大いに関係してくると予想する。花森の女装は終戦後かららしいので、花山に関してもこれからのお楽しみとしたい。
(木俣冬)