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今回は、人間の視線の計測について紹介したいと思います。視線の動きで、コンピュータを操作することも可能です。また、視線を計測することで、人間が注目しているものや集中度合いなどを推定することができるでしょう。

○人間の目はどういう動きをするの?

衝動性眼球運動(Saccade)
衝動性眼球運動は、本を読んでいるときや、物を探しているときなどに生じる急速な眼球運動です。

滑動性眼球運動(Smooth pursuit)
滑動性眼球運動は、ゆっくり動く視覚対象物の網膜像を網膜中心付近に維持するように、その動きに合わせて視線を滑らかに動かす目の動きです。

輻輳開散運動(Vergence)
近くを見るときに両眼が寄る動きを輻輳といい、逆に遠くを見るときに両眼が離れることを開散といいます。

その他の目の動き
その他にも網膜像のぶれを抑えるための、前庭動眼反射(Vestibulo-Ocular Reflex)、視運動性眼球運動(Optokinetic Response)、回旋性眼球運動(cycloduction)などがあります。

○視線計測の製品

Tobii
視線計測では、Tobiiの製品が有名です。動画1のようにディスプレイに取り付けられたEye Trackerにより、ディスプレイの前に座っている人の視線を計測することができます。応用としては、たとえば、キーボードやマウスに加え、人間の視線を用いてPCを操作することが可能です。

Tobiiは、グラス型のEye Trackerも製品化しています。机の前だけでなく、より広域での視線を計測することができます。たとえば、自動車の運転中にどのような目の動きが生じていたかを分析することができます。また、店舗内で棚のどの商品がより注目されていたかなどを分析し、その情報をマーケティングに生かすことができます。

<動画1 Tobii 固定型Eye Tracker>

<動画2 Tobii メガネ型Eye Tracker>

Pupil Labs
Tobiiの製品は非常に高価なものでしたが、ベンチャー企業がより安価なEye Trackerを製品化してきています。動画3のPupil Labsのメガネ型Eye Trackerは、1000ユーロちょっとで購入することができます。Eye Trackingの製品が普及し、大量生産が可能になるのであれば、さらに値段を下げることは可能なはずです。

<動画3 Pupil Labs メガネ型Eye Tracker>

「目は口ほどにものを言う」という諺にあるように、目の動きは人間の内なる感情、思考を反映しているものです。好意を持っている異性と話すときは無意識のうちにアイコンタクトが増えるといわれています。嘘をついているとき、動揺しているときも目の動きに何かしら変化が生じるはずです。興味のある方は、Googleなどで詳しく調べてみてください。

著者プロフィール
樋口未来(ひぐち・みらい)
日立製作所 日立研究所に入社後、自動車向けステレオカメラ、監視カメラの研究開発に従事。2011年から1年間、米国カーネギーメロン大学にて客員研究員としてカメラキャリブレーション技術の研究に携わる。

現在は、日立製作所を退職し、東京大学大学院博士課程に在学中。一人称視点映像(First-person vision, Egocentric vision)の解析に関する研究を行っている。具体的には、頭部に装着したカメラで撮影した一人称視点映像を用いて、人と人のインタラクション時の非言語コミュニケーション(うなずき等)を観測し、機械学習の枠組みでカメラ装着者がどのような人物かを推定する技術の研究に取り組んでいる。また、大学院での研究の傍ら、フリーランスとしてコンピュータビジョン技術の研究開発に従事している。

専門:コンピュータビジョン、機械学習

(樋口未来)