四川日報は、中国四川省成都市で1500種類のバラを栽培する日本人、岡田正男さんについて伝えた。

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黄色いチェックのシャツに濃い色合いの長ズボン、白髪に覆われた頭――。目の前にいる男性は日本からやってきた68歳になる岡田正男さん。成都で暮らすようになってすでに10年以上経つというが、取材に訪れると岡田さんは恥ずかしげに手振りで自身の中国語は「ちょっとわかるだけ」とした。彼の背後には1500種のバラが植わる五月ローズ園があり、そしてこの場所こそが彼の成都での「家」なのだ。2005年に初めて成都を訪れてから、11年の月日が経っている。そんな岡田さんはすでにベテランの「蓉漂(成都に出てきて奮闘する人々、漢字の蓉は成都の別称)」と言えるだろう。四川日報が伝えた。

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起業の意志、諦めず

岡田さんは約30年にわたるバラの栽培経験を持つ園芸家だ。日本の土地資源は非常に限りがあるので、中国でバラの花を育てて日本やもっと多くの国々に輸出したいという考えのもと、1994年に成都を訪れ、この地のバラの栽培条件を視察した。

しかしこの視察の時点では岡田さんは事業投資を行わず、四川大学の講師と共に、土壌改良研究を行うことにした。なぜなら「当時の土地資源はバラ栽培のニーズを十分に満たすものではなかった」からだという。成都出身の中国人で岡田さんのビジネスパートナーでもあり、通訳でもある徐堯さんは「この100ムーほどのローズ園で使われる土は、全て岡田さんが研究開発した土壌改良技術を用いている」と紹介した。

日本に長年住んだ経験もある徐さんもまたバラ好きが高じて、偶然岡田さんと知り合い、友達になった。2005年に第6回中国花卉博覧会が成都市の温江で開催されると、二人はチャンスをつかむべく温江に投資してローズ園を建設したが、その経営は散々で、数年しか続かなかった。

しかし、岡田さんは諦めることなく、再起を誓う。十分な準備期間を経て、2015年4月に温江永寧鎮に五月ローズ園を正式に開園させた。ワイルドローズ、オールドローズ、モダンローズの三大カテゴリーに分け、合計1500種のバラを集めている。岡田さんは「以前に比べ、バラを好む人が多くなった。また政府部門も宣伝や販売の上で、たくさんの支援を提供してくれる」と語り、今回の起業には十分期待しているという。

今年4月には温江関係部門の協力のもと、2016年四川花卉(果物類)生態観光祭のサブ会場としてのイベントと同時に温江ローズ祭りが五月ローズ園で開かれた。

起業理念は完璧さを追い求めること

岡田さんは毎日ローズ園にやってくると、まず園内を巡り、バラ一本一本の育ち具合や雑草取り、水やりをチェックする。ローズ園の他のスタッフの目には岡田さんのこんな姿は仕事の上で完璧を追求するほほえましい老人と映っている。

この広大なローズ園にはどこにもスプリンクラー設備が設置されていない。岡田さんはスタッフ自らが水やりすることを要求している。その理由として岡田さんは「スタッフが自分で水やりすることで、花に近距離まで近づき、育ち具合を観察し、何か問題があれば即座に発見するチャンスを得られるからだ。水やりの極意を学ぶだけでも、3年は必要だ」と語った。成都で起業してからというもの、岡田さんは自身の数十年のバラ栽培の知識を常に広め続けてきた。

またローズ園では、アーチなどにはわせて育てるバラがほとんどだが、このアーチの大きさに関して、岡田さんは厳格に要求しており、1センチでも間違っていれば作り直させる。徐さんは「岡田さんがこのように要求するのは、全て同じ大きさにそろえることで、冬になって園内に咲く花が少なくなっても、美しい景色を保つことができるためだ」と岡田さんの意図を教えてくれた。

ローズ園にはアスファルトの通路は無く、通路は全て小石が敷き詰められているか、芝生になっている。そしてさらに面白いのが、園内にはゴミ箱が一つも設置されていない点だ。「来園者にはなるべくゴミを出さないようにしてほしいと思っている」と話す岡田さんはエコを目指した自然の中で、バラを鑑賞する環境を作り出したいとしている。そして「ここ数年、成都も国際化が進み、成都に住む人々も外から入ってきた事物をだんだんと受け入れられるようになってきている」とし、さらに多くの人々にバラを楽しんでもらうため、岡田さんと徐さんは現在新たにローズ博物館を建設し、バラに関する知識やストーリーなどを紹介したいと考えている。「この永寧鎮をバラの街にしたいと考えており、現地政府も我々のこの考えを大いに支持してくれている」と語った。

起業にはこだわりが必要だ。本来ならば晩年をのどかに楽しむことができる68歳の岡田さんは、このこだわりを持ち続け、挫折後も初心を堅持し続け、家族や友人たちと離れることも厭わず、遥か海を越えて成都で起業した。

岡田さんは成都でバラを植え初めてからすでに10年以上の時を費やしてきたとし、「もし何ら成果を残せなかったら、自分自身に申し訳が立たない」と語った。

「大衆による起業・革新」の時代、より多くの起業者は岡田さんからその勇気を学び、信念を持ち続け、自身の起業の道を歩んでほしいと思う。(提供/人民網日本語版・編集TG)