タバコの煙が衣服や壁に触れると・・・

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喫煙スペースはどんどん減っていき、何かと煙たがられる喫煙者だが、もっと肩身が狭くなるかもしれない。タバコから出た煙を吸う「受動喫煙」に続き、近ごろ「三次喫煙」による健康への影響が懸念され始めている。

三次喫煙とは何か。またタバコの煙は、どこまで気をつければいいのか。

どれだけ健康に影響するかは研究途上

タバコの煙は、触れた衣類、髪の毛、家具、壁に触れると成分がくっついて残る。その残留物が空気中の物質と反応して、発がん性物質をはじめとした有害物質に変わる可能性がある。それを吸い込むのが「三次喫煙」で、健康に影響が出るとされる。2009年、米国の医学誌に三次喫煙の概念を紹介した論文が掲載されたのがきっかけで知られるようになった。

日本でも徐々に注目を集めている。2016年5月中旬には、ある飲食店で「三次喫煙対策のご協力をお願いします」としてタバコの臭いがする人の入店を拒否する張り紙が掲示されているのをツイッターユーザーが投稿し、1万件以上のリツイートがついた。他にもネット上では「三次喫煙で頭痛になった」「三次喫煙怖い怖い」などと心配する声があるが、「真偽も影響度もよく分からない」「そこまで先鋭化するとただの神経質扱い」という反論も出ている。

確かに、煙そのものだけでなく、煙が触れた物にまで注意するとなると、かなり広い範囲にわたって神経をとがらせなければならない。実際に三次喫煙は、どれだけの健康被害を及ぼす恐れがあるのか。

国立保健医療科学院・生活環境研究部の研究官で、タバコに含まれる有害物質の分析を続ける稲葉洋平氏は16年6月15日のJ-CASTヘルスケアの取材に対し、「三次喫煙による健康への具体的な影響については、まだよく分かっていない。直接の喫煙よりは小さいかと思いますが、受動喫煙との比較も研究の途上にある」と答えた。

ただ、「迷信めいたものではなく、三次喫煙という現象が存在するのは確かだ」という。

「臭い」と「有害成分」は切り離すべき

三次喫煙はメカニズム上、タバコの煙の成分が物に付着するのが発端となる。それなら、煙に触れた服や家具の処置方法が焦点になるだろうか。稲葉氏に具体的な方法をいくつか聞いてみた。

「煙の成分は『吸着』してしまっていますので、ホコリを払うような所作では取れないでしょうね。空気清浄機も大きい粒子は多少取れますが効果は小さい。掃除機でもすべては吸いきれないでしょう。洗濯(水洗い)すればほぼなくなります」

注意したいのは、

「煙の臭いと、(三次喫煙のもとになる)煙の有害成分とは、切り離して考えるべき」(稲葉氏)

という点だ。「臭いがあるから有害成分もあるかといえばそうでもないし、逆もしかり。だから、例えば電車の中で隣の人からタバコの臭いがしても、三次喫煙になるとは限らない」というのだ。臭いや見た目では分からず、実験で調べなければ成分ははっきりしない。

気にし過ぎるのも良くないのだろうか。これには稲葉氏も「う〜ん」と返答に困ったようだ。ただ、受動喫煙が原因で死亡する人数は年間1万5000人に上るという推計が16年5月31日、厚生労働省の研究班から発表されている。これを引き合いに、「例えば居酒屋に行ったら煙が漂っていて、同時に受動喫煙もしますよね。三次喫煙と同時に受動喫煙もしている人が多いですので、健康を気にするなら、まずは受動喫煙を避けるのが大事でしょう」。