ゆとり第一世代の友情と成長を描いた「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系、毎週日曜22:30〜)最終回を迎えた。


大騒ぎではじまった最終回


開始早々、マリッジブルーに陥った茜ちゃん(安藤サクラ)から、早川(手塚とおる)と一晩をともにしたことを告白される坂間(岡田将生)は叫びながら走り回る。
性教育の授業を控えた山路(松坂桃李)は生徒の母と実習生、二度も童貞を捨てるチャンスが訪れるがどうやらうまくいかなかったらしい。
「鳥の民」で茜ちゃんと悩みを打ち明けあうなかで、山路が思わず茜ちゃんを殴ってしまい大騒ぎになったり、その後山路が麻生(吉田鋼太郎)に泣き叫びながら自分を責めたりと、大騒ぎの幕開けとなった最終回。落ち着いているのは棟梁に守られ植木職人に復帰したまりぶ(柳楽優弥)くらいのものだ。

牛丼屋での三三九度


わだかまりを残したまま結婚できないと花嫁行列から遁走したのは坂間のほうだった。紋付袴姿でその足で早川を殴りに行き、追いかける早川から逃げ込んだ牛丼屋でひとり、三三九度。その姿が神社に残された茜ちゃんと重なる。二人はお互いを思って、三三九度を交わした。
それだけなら感動の場面なのに、そこで「非常識タヨ!」と叱りつけてきた店員こそ、入国管理局から逃げて行方不明になっていたまりぶの妻、ユカ。坂間から連絡を受け慌てて駆けつけたまりぶは、お返しとばかりに坂間を無理やり結婚式の会場へと連れ戻る。

山路、最後の授業


最終回では山路最大の悩みであった性教育の授業と、翌日の結婚式の騒動の時間とが折り重なって流れる。おっぱいがうまく描けないなどの童貞らしい失敗を含みつつ、山路は最後にこう締めくくる。
「大人も、間違える。間違えちゃうんだよ。だから、他人の間違いを、許せる大人になってください」。
ドラマ全編を通して、山路の授業ではゆとりについて、大人について真摯にストレートに語られてきた。その総括ともいえる授業が、ここで行われた。2016年、ささいな失敗が糾弾されては、失敗を犯した人たちがどんどん潰されてゆく時代に、ゆとりと呼ばれバカにされてきた世代の登場人物に、まっすぐのボールを放たせた。
そこに年長である麻生が「道に迷ってしまって」と結婚式場に遅れてやってくる描写が重なる。どこからどう見ても大人の麻生さえも、死ぬまで道に迷うし、間違える。そのことをこのドラマを観てきた視聴者は、すでに知っている。

宮藤ドラマらしさは随所に


毎回観てきた人をも祝福するようなみごとな最終回。だがもちろん回を追うごとに生まれてきた宮藤ドラマならではのグルーヴ感は随所に散りばめられている。
発見されたユカが「吉田よしえ、専門学校生」という嘘丸出しの主張をしたうえ、坂間に「パワハラ!」と叫ぶ場面。
結婚式に遅れてやってきた山岸(太賀)が山路が逃げ出したと聞いて「俺じゃねえんだから」とツッコむ場面。
「山路、性教育にかこつけてセックスしようとしてました!」「来年、山路30歳です」と、元々生徒たちの前では自分を「山路」呼びしていた山路だが、最終回ではそれがエスカレートして「矢沢」みたいになっているところ。
すべてが丸く収まったのちに、まりぶの舎弟が坂間酒造に面接に来たところもよかった。10話めにして彼の名前が豊臣吉男だということが発覚した。

やっぱり、安藤サクラの存在感


ちょっと戻って結婚式の場面。
"最終回に結婚式"という展開は、ラブストーリーであれば決して少なくない。そこでハプニングが起こることもまあ、あるだろう。しかしこのドラマでは、茜ちゃんが戻ってきた坂間に向かっていこうとして足がしびれ、白無垢をひきずって這って近づく。そのぐちゃぐちゃの姿が涙を誘い、しかもそんな状態で坂間のもとにたどり着いた茜ちゃんが最高に美しいのだ。破格のヒロインは、最後までかっこよかった。

冒頭に「ゆとり第一世代の友情と成長を描いた」と書いた。友情は描かれていたが、成長は正直、わからない。それぞれが少しずつ変化したけれど、それが成長といえるかは難しい。それぞれがたぶんこれからも間違えるんだろうと想像できる最終回。でもそれでいい、と思えるドラマが「ゆとりですがなにか」だった。
(釣木文恵)