財政制度審議会(財務相の諮問機関)の吉川洋会長が、「消費増税再延期と日本の財政」と題して会見、安倍晋三首相の経済政策・アベノミクスは失敗したと断じた上で、「消費増税先送りに大義はない」と批判した。政府の代表的な審議会のトップの痛烈批判は極めて異例。

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2016年6月17日、財政制度審議会(財務相の諮問機関)の吉川洋会長が、「消費増税再延期と日本の財政」と題して会見、安倍晋三首相の経済政策・アベノミクスは失敗したと断じた上で、「消費増税先送りに大義はない」と批判した。政府の代表的な審議会のトップの痛烈批判は極めて異例。政権の発言要旨は次の通り。

消費税引き上げは国民の安全・安心の基礎となる社会保障制度を持続可能なものにし、財政再建の一歩となるものだった。日本経済にとっての大きなリスクを取り除き、民需主導の持続的な経済成長を生み出すはずだったが、消費増税先送りに大義名分はない。

アベノミクスは岩田規久男日銀副総裁や浜田宏一内閣府参与らリフレ(インフレ志向)派が推進した政策だが、私は失敗したと考える。第2次安倍政権発足以来3年半。黒田春彦日銀総裁は異次元金融緩和により、2年以内に消費者物価指数で2%のインフレにすると約束したが、総裁就任以来3年以上経っても、この目標は遠のくばかり。「17年度中に達成する」と目標時期を延期したが、これも困難で、このままではデフレ脱却は難しい。

黒田総裁らはマネーの流通量を増やせばデフレが止まると主張したが、その異次元金融緩和が行き詰まった。「マイナス金利」を導入したが、効果はない。政労使会議で企業の賃上げを促したのはよかったが、結果が伴っていない。

購買力平価(ビッグマック指数等通貨の購買力)でみると、適正円相場は1ドル=80円であり、ルー米財務長官の円安牽制発言は妥当と言える。アベノミクスでもたらされた円安・株高の流れは逆回転している。

世帯所得のジニ係数(不平等度を表す指標)で見た所得格差は長期的に上昇傾向にある。所得分布全体が下に移動するという、全般的な貧困化傾向が見られる。国民の将来への不安が消費の停滞と景気低迷を招いている。(八牧浩行)