「第二の皮膚」と言える新素材(Photo: Melanie Gonick/MIT)

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加齢によって肌に刻まれるシワが増え、目の下にもたるみが出てきた。鏡を見ながら思わずため息――年齢には逆らえないと実感する瞬間だろう。

米ハーバード大とマサチューセッツ工科大(MIT)の研究者が開発した新素材は、「第二の皮膚」と呼べる画期的なものだ。肌につけると透明な膜となり、シワやたるみを隠す。

健康な肌に似た見た目と強度、弾力性を持つ

「まるでファンタジーのようなアイデアだ。透明な膜を皮膚につけると、肌に若いころの張りを与えてくれる。目の下のたるみは瞬時に消え、しわもなくなる。それが決してファンタジーでないことを、ハーバード大とMITの研究者が示した」

米紙ニューヨークタイムズ電子版は2016年5月9日の記事冒頭で、「第二の皮膚」をこう表現した。MITの発表資料によると、研究者が開発した新素材はシリコーンを基にしたポリマーで、皮膚につけると薄く透明な膜となり、機能的で弾力のある「若々しい肌」になるという。100種類以上のポリマーをつくり、健康な肌に最も似た見た目と強度、弾力性を持つものを選んだ。

MITのウェブサイトには、新素材に関する解説動画が掲載されている。腕に張られた透明の膜は、つまんでもはがれない強度で皮膚になじんでいる。この膜は2種類の材料からなる。実験映像では最初に透明のポリマーを左腕に塗り、続いてカタリスト(触媒)と呼ばれるクリームを重ねるように塗布する。たったこれだけで、耐用時間24時間の「第二の皮膚」が完成する。

動画には、ひとりの年配女性が登場する。左目の下には、はっきりとシワやたるみがあるのだが、右目の下にはない。実は「第二の肌」をつけており、たるみが消えているのだ。その後、両目の下が数秒間つままれた。指が離れると、たるみのある左目下はつまんだ跡がくっきりと残ったままだが、右目の下はすぐに元の滑らかな肌に戻った。この実験では、素肌と見分けがつかないほど目立たない点や、2.5倍に引き伸ばしても元に戻るという弾力性という特色を証明している。

将来は医療面への応用も期待

今後はシワやたるみといった美容の観点だけでなく、湿疹や乾燥肌、乾癬(かんせん)のケアへの応用が期待されている。研究者が試験したところ、「第二の肌」は、市販されている高機能の保湿剤と比較しても保湿力が高かったという。1度使えば24時間もつため、例えば湿疹の患部を保護、長時間保湿することで不快なかゆみから解放されるだろう。

将来は、医療面で活用する場面が増えていくかもしれない。