「僕の常識はキミの非常識、キミの常識は僕の非常識」
被害者宅に行ってもバシャバシャ写真を撮る深山(松本潤)。我流でも0.1%の事実を見つけては事件を覆してきた。かなり無茶苦茶な理屈を言っても説得力がある。
「99.9-刑事専門弁護士-」9話は、これまでとは毛色が違うサスペンス仕立て。物静かな強敵あらわる……。


謎はすべて解けた!「99.9-刑事専門弁護士-」9話


「家が見えないけど……表札デカ!」
2メートルは越える大きな門。建物が見えないほど緑で覆われたお屋敷。
「山城鉄道グループの邸宅よ、あたりまえじゃん」

今回の仕事は、班目所長(岸部一徳)の旧友の息子からの依頼。
佐田(香川照之)、深山、立花(榮倉奈々)が駆けつけると、山城鉄道の会長の絞殺死体があった。

番組facebookで公表している裏話によれば、9話には犬神家の一族、八つ墓村、悪魔の手毬唄、Wの悲劇、金田一少年の事件簿を盛り込んだとのこと。

通された部屋の壁には額が飾られている。
「鶯の身をさかさまに初音かな」
「むざんやな冑の下のきりぎりす」
「一つ家に遊女も寝たり萩と月」
金田一耕助シリーズ『獄門島』に出てくる俳句だ。水中から足が出たシンクロナイズドスイミングの写真からはスケキヨの死に様を思い出す。

自首したのは三男の嫁・皐月(国仲涼子)。結局アリバイが崩れて長男の身代わりになっていたことが明らかになる。その裏には、生まれてくる子どもに莫大な遺産を相続させようという皐月の思惑が絡んでいた。

山城一族から事情を聞く深山たち。
広い畳の部屋に三兄弟とその嫁、次男の息子が横並びに座る様子は“犯人はこの中にいる”状態。
松潤はドラマ『金田一少年の事件簿』で2代目金田一一を演じている。「じっちゃんの名にかけて」の名ゼリフこそ出なかったけど、大人になった一をみているようだった。

畳敷きの広い和室、欄間には鳥のステンドグラスとシャンデリア。掛け軸には犬神家の一族の家宝「斧・琴・菊」と「良き事を聞く」の2パターンが仕込まれていた。

一家総出で事件当日の再現を試みる。深山は長男に付き、出された茶菓子を一口食べて「おいしい、普通じゃない」。なんの隠語だろう。

事件当日、長男の嫁は「琴」を弾き、次男の嫁は「菊」の花を生け、三男が庭でゴルフの練習をするところに「斧」が刺さったままの切り株。確かに普通じゃない……。

「奥さんズゴックじゃないですか」
「ズゴックって人の奥さん、水中用モビルスーツみたいに言わないで」
明石と藤野のガンダムネタに、プロレスネタ(矢野通、モハメドヨネ、邪道が出演)も入っていたせいか、サスペンスに寄せて違和感はなかった。それよりもマンモス柿ピー(酒井法子のマンモスうれピー)の攻め具合にハラハラした。

深山VS佐田 ダジャレバトル


皐月のウソが明らかになると躍起になる佐田先生。
「いいかみんな、山城家の人たちを徹底的に全員調べるっ!」
先生に続いて深山も、
「いいかみんな、山城家の人たちを徹底的に全員調べるっ!」
言い方までマネて茶化しすぎ。
「やめなさいよ」止める立花に対して、今度は立花の声をまねて、
「やめなさいよ〜」、ついでに「やめませんよ〜」一人ツッコミ。
子どもか、生意気な小学生か。憎らしいけど、無邪気でかわいい。

佐田先生も佐田先生だ。長男のアリバイを崩す証拠をつかんで、真っ先に深山に話した。
「ああいう会食では会食の最後にこういう記念写真を撮るの」
クライアントを頼ったら決定的な証拠が出てきた。事件当日に駆けつけたときとスーツが異なり、写真には犯行に使われた朱色のネクタイを締めて写っていた。
「シャッター押しシャッター」
佐田先生のダジャレに深山も、
「謎は……すべって解けたっ」
カメラも顔半分のアップを3カット、最後にひきから寄り。随分と大掛かりでダジャレをかぶせる。
「滑ってないよ、滑ってないよ。いつも言ってるのと同じくらいだよ、むしろ俺のほうがちょっと上」
佐田先生の“上”発言に、深山の顔つきが変わった。
「彼と彼女は、ネクタイ関係」
ヒヒッと笑う深山に、「やっぱ敵わないや」と大ウケする佐田先生。
上下関係が崩れているのは、ダジャレが原因か……。

計画的な悲劇のヒロイン


長男の犯行をつきとめて事件は解決したのに、スッキリしない深山。
一族から除け者にされた上に、義父の介護を一人で任されていた皐月。離婚を考えていることを実母に漏らしていたのに妊娠。しかも隠していた。
逮捕直後の接見では、子どもはいませんと答えたのに、まるで殺人を見越していたかのような周到さが怖い。

釈放されて班目事務所にやってきた皐月に、深山は遺産相続の話を切り出す。相続人が隠匿で一斉に権利を失い、お腹の子どもに相続権があることを指摘すると「なんのことでしょう。何の証拠もありませんよね」……確信犯か。

最後、押しても引いても開かないドアに手こずって出られない皐月。深山が横にスライドさせて部屋から出してあげたシーンは、法の抜け穴をかいくぐる様子を表しているようで歯痒かった。

「してやられたね」と班目所長。皐月は罪を犯していないし、遺産目当てという思惑レベルでは法律も無力。深山がドアを開けた時に皐月を見つめながら言った「お体を大事に」は、ささやかな反撃だろうか。

9話の最後、珍しく班目所長と二人きりで話した深山。
「一つ聞いてもいいですか、あ、二つか。どうして僕をここに入れたんですか?」
「君の弁護士としての才能が半分、あとは……なんだろうね」
残りの半分は最後まで聞けなかった。
そういえば、これまで深山の父親の件について二人で話しをしたことがない。
班目所長が右眉を小指で掻く癖を「昔からですもんね」というあたり、子どもの頃から知っているはずなのに、父親の事件には踏み込まずにいる。
それでも何か話したかったから深山なりの言葉づかいで切り出したんじゃないか。
それから深山の父親の事件の担当検事をしていた大友検事正(奥田瑛二)に、丸川検事(青木崇高)が何か言いかけたのも引っかかる。

「事件はすべって解決」したものの、9話なのに進展がない。あと残り1話で班目所長と検事のミスによって人生を狂わされた(?)息子の深山大翔によって、大友検事正から謝罪を引き出す展開もあるだろうか。

いよいよ最終回。KAT-TUNの中丸雄一がゲスト出演する今夜は20分拡大スペシャル。
(柚月裕実)