子どもの近視を軽く考えないで

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「オレもメガネかけているし、息子が近視なのは仕方がない」。最近、近視の子どもが増えているが、たかが近視と軽く考えてはいないだろうか。

子どもの近視の中にも「病的近視」と呼ばれ、失明のリスクが高い恐ろしい病気がある。従来、子どものうちは普通の近視と病的近視の判別が難しかったが、最近、見分ける方法が明らかになった。わが子を思うなら早めに専門医を受診しよう。

40歳以上の18人に1人は危険な「病的近視」

病的近視の判別方法の研究成果をまとめたのは、東京医科歯科大学大学院の大野京子教授らのチーム。国際医科学誌「Ophthalmology(眼科)」(電子版)の2016年6月7日号に論文を載せた。また同日、記者会見を開き、内容を発表した。

それによると、通常の近視は、眼球が奥行き方向に伸びることで起こる。水晶体(レンズ)から入る光が網膜の手前で焦点を結んでしまい、映像がぼけて見える。ところが、一部の患者の中には眼球そのものがいびつに変形したため、強度の近視になる人がいる。こうした近視を「病的近視」と呼び、40歳以上の日本人の5.5%(約18人に1人)にみられるという。

病的近視は、眼球の変形によって網膜や視神経に障害が起こり、緑内障などを併発し失明するリスクが高い。メガネで矯正しても視力は0.7以下にとどまり、失明原因の20%を占める。緑内障以外にも様々な合併症を引き起こすので「目の病気のデパート」と呼ばれるそうだ。しかし、これまでは子どもが近視になっても、通常の近視のまま維持するのか、病的近視にいたる重症なのか、判別することが難しかった。

東京医科歯科大学眼科には、全国約4000人の登録患者がいる「強度近視専門外来」がある。研究チームは、その中から成人になって病的近視を発症した19人の35眼の眼底検査の結果を子ども時代にさかのぼって分析した。その結果、17人の29眼(83%)で、15歳までに網膜が萎縮して薄くなり、視神経の周囲が黄色く変色する症状が確認された。これは、矯正で視力を保てる通常の近視にはみられない特徴だという。

「根本的治療法はない」「20%が最終的に失明する」

同大の強度近視外来を受診した病的近視の患者のうち、約20%が最終的に失明した。まだ、根本的な治療法は見つかっていないが、今回の研究は新たな治療法の開発につながる成果だという。

研究チームの大野京子教授らは会見で、「通常の近視の子どもには『失明するかもしれない』という不安をとりのぞくケアが必要です。また、病的近視を発症するリスクのある子どもには、早い段階でその進行を予防する治療が必要です。たかが近視と軽く考えずに、ぜひ専門外来を受診してください」と呼びかけた。