三菱自動車が6月17日、国土交通省へ燃費試験不正に関する再報告を実施するとともに、対象車ユーザーへの賠償額の考え方について公表しました。

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また、不正に至った経緯や不正に関与した部署についても同日付けで公表。

同社によると、社内文書保管期間(10年間)である2006年まで遡って再調査した結果、過去に販売した車種でも不正行為があったとしており、現行販売車以外に1991年から法規で定める「惰行法」とは異なる独自の「高速惰行法」による走行抵抗値を17車種で使用していたそうです。

これにより、不正対象車は当初の62万5,000台から200万台超にまで膨らむことになり、補償額は少なくとも1,000億円以上に上る模様。

三菱自動車によると、今回の一連の不正は、遵法意識の不足、ものが言えない組織風土、人材の特定部署への長期固定などの複合要因によって起こったとしています。

<走行抵抗値改ざんに至った主な背景>

・実走行測定にバラツキ大、机上計算が常習化
・長期に渡り一部署に人材を固定、ローテーション不足
・性能実検部の業務がブラックボックス化
・試験項目が増大、開発現場の業務負担が増加
・総指揮を執るPXの業務量に則したリソース確保不足
・開発PMの業務マネジメント不足(子会社に丸投げ)
・燃費目標達成がプレッシャーとなりデータを改ざん

<不正に関与した部署>

・性能実験部/MAE/車両性能実験部
→法令で定められた「惰行法」と異なる方法で走行抵抗を測定
・認証部 法令で定められた成績書に事実と異なる記載
・性能実験部/MAE/認証部
→走行抵抗値のデータを改ざん
→過去の試験結果などを基に走行抵抗値を机上計算

賠償額については「ユーザーの使用年数に関わらず、燃費値が異なることによって生じる燃料代の差額や、今後の車検時等に発生する税額負担等を踏まえ、賠償金を一律に支払う」としています(自動車取得税のエコカー減税追加納付分も別途負担)。

ユーザーへの賠償金支払いは8月頃になる模様です。

■賠償額:10万円/台(2016年4月21日時点のユーザー対象)

eKワゴン/カスタム、eKスペース

・リース、残価設定型クレジットを利用のユーザーは契約年数毎に1万円
・既に車両を手放したユーザーについては使用年数毎に1万円

■賠償額:3万円/台(2016年6月17日時点のユーザー対象)

・現行販売車種:パジェロ(2006年発売)、RVR(2010年発売)

・販売終了車種:旧型アウトランダー/ギャランフォルティス/ギャランフォルティス スポーツバック/コルト/ コルトプラス

今回発表された賠償額が車種で異なるのは、軽自動車の方が燃費改ざんによる実燃費との乖離が大きいためとしています。

また、2006年3月までに販売した車種については社内記録が残っておらず、燃費の改ざん有無が不明のため、補償の対象外となっています。

日産ブランドで販売したOEM車(デイズ、デイズルークス)に対する賠償については日産から追って発表されるものと予想されます。

三菱自動車は再発防止に関して「開発部門の業務プロセス可視化、経営陣などによる部長職の意識改革により、開発部門の閉鎖的な組織に風穴を開け、自浄作用を取り戻す」としていますが、これまでの経緯を考えると同社の抜本的な社内風土改革には「外の目」が不可欠な状況。

先頃、資本提携を結んだ日産自動車からの人材投入など、「ゴーン流」の改革が注目されます。

(Avanti Yasunori)

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