ニコニコ動画「百田尚樹チャンネル」より

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 舛添要一を"弱い者いじめ"で引きずり降ろした次は、候補者選びに話題がスライドした都知事問題。しかし暗澹たる気分にさせられるのは、出馬が取り沙汰されている、その面子だ。

 橋下徹や東国原英夫といった"タレント元知事"は言わずもがな、杜撰な原発政策を振りかざす丸川珠代に、父親譲りの失言癖があるのに"世襲"に色気を出す石原伸晃、権力者にすり寄って生きてきた"政界渡り鳥"小池百合子、菅義偉官房長官に言いなりの櫻井翔パパこと桜井俊&安倍首相と関係の深い斎木尚子という官僚組......。

 その上、安倍首相とスタンスが近い民進党のネオコン議員・長島昭久を擁立して自民・公明が相乗りするという情報も飛び交い、ブラック企業の代名詞となったワタミの創業者・渡邉美樹までもが出馬に意欲を示すという。頭がクラクラ。

 しかもそんななかで、"もっともあり得ない"あの人物が名乗りを挙げた。百田尚樹である。

 百田はきょう、Twitterにこんな文章を投稿した。

〈東京都知事に立候補しようかと真剣に考えている。取り敢えず住民票を移して、生まれて初めて東京都民になるか。〉
〈でも、都知事選なんかに立候補したら嫁さんに怒られるから、こっそり出ないとあかんなあ。〉

 こうつぶやくや否や、Yahoo!ニュースに取り上げられると、本人はさらにはしゃいだ様子で連投。〈『カエルの楽園』が50万部売れたら、マジで東京都知事に立候補するんやけどなあ。〉と小説の体を成していない例の自著を宣伝し、さらには〈僕が東京都知事になったら、取り敢えず、例の韓国人のための学校用地貸与の契約をなしにする。〉などと、いつもの嫌韓丸出しの"選挙公約"まで発表しはじめたのだ。

 もちろん、百田が本気で都知事選に出馬しようと考えているかどうかは疑問、というか、冗談の可能性のほうが高いだろう。だが、たとえ冗談でも、この男に「東京都知事に立候補しようかと真剣に考えている」などと言う資格はない。

 というのは、百田は前回の2014年都知事選のとき、出馬した田母神俊雄元航空自衛隊幕僚長を大絶賛していた責任があるからだ。

 このとき、百田はNHK経営委員という立場でありながら田母神の応援演説に複数回にわたって登場。「非常に尊敬してます」「この人は男だ、立派な日本人だ」「田母神俊雄氏は本当にすばらしい歴史観、国家観をおもちです」とこれ以上ないくらいの賛辞を述べたうえ、田母神以外の候補者を「私から見れば人間のクズみたいなもんです」と言い放った。

 だが、その都知事選後、田母神の政治団体をめぐって計約5500万円にものぼる多額の使途不明金問題が浮上。しかも、選挙運動の報酬として現金を配っていたことが発覚し、ついには今年4月、田母神は公職選挙法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されるにいたった。

 ちなみに、田母神はこの5500万円の中からキャバクラや自分の離婚訴訟の費用まで支出していたという報道もあった。

 落選したとはいえ、このような人物の応援を買って出て、61万票も集めることに百田が加担したことは間違いない。なのに、田母神の逮捕後は〈うーん...どこの事務所でも運動員に日当は払ってるのでは。〉などと述べ、〈ちなみに私は1日つぶして田母神氏の応援演説をやったが、1円どころか交通費さえ受け取っていない。〉と弁解しただけ。有権者に対して、自身の責任を詫びることさえ未だしていない。

『殉愛』騒動でも、記述の嘘やデタラメが露呈しても見苦しい言い訳に終始し、証人として出廷した裁判でも逆ギレする始末だったが、田母神の都知事選における公職選挙法違反問題も、まるで自分は関係ないと言わんばかり。そんな人間が、おめおめと「東京都知事に立候補しようかと真剣に考えている」と言い出すとは、図々しいにもほどがある。

 まあ、軽佻浮薄なこの男に付ける薬などいまさらないが、しかし問題は、こんな人物が出馬表明をしても不思議ではない、現在の日本のほうだろう。

 代表作では特攻隊を賛美し、右派雑誌では歴史修正主義を振りかざすという反知性を絵に描いたような低俗作家が、安倍首相にすり寄った結果、こともあろうにNHKの経営委員にまで押し上げられてしまう。そして、経営委員を退任しても今度は自民党が"文化人"ともちあげ、党本部で開かれた勉強会という"公"の場で「沖縄のふたつの新聞社は絶対つぶさなあかん」などと報道圧力を平然と口にする。つまり、百田が当たり前の顔をして「都知事に立候補」などと言い出し、ニュースになってしまうような状況こそ、ほんとうは"異常"なのだ。

 安倍首相の暴走で、普通じゃないことが普通になってしまっている現在。とりあえず、百田の出馬表明には一言「クズは家で寝てろ」とだけ言っておこう。
(編集部)