カナダの原野と光輝く正方形の、奇妙な風景写真

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自作した正方形のLED内蔵オブジェを携え、キャンピングカーで撮影して回った写真家ブノワ・バイエ。彼の3年間の成果が、世にも奇妙な風景写真として公開された。

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2/11PHOTOGRAPH BY BENOIT PAILLÉ

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星空や月明かりに照らされた夜の景色などというと、陳腐な決まり文句に聞こえる。ブノワ・パイエはこのありきたりなモチーフに、正方形のLEDを加えた。新しくて怪しげな何かを生み出す、シンプルな方法である。

進行中のプロジェクト「Alternative Landscapes I・II」のために、パイエは5年間、カナダの原野をライトを持って走り回った。

彼がこのアイデアを思いついたのは、故郷トロワリヴィエールの街中を彩るイルミネーションを見つめていたときである。変わった場所にこのライトを吊るしてみたらどうなるだろう、と彼は考えた。「近くの森で、この光のインスタレーションの撮影を始めました。そしてこの方法を使って、風景というものの概念を研究してみようと思ったのです」

最終的に、パイエは90cm四方の段ボールにLEDを取り付けた自作の道具を使うことにした。それをつり糸で釣り上げたりあるいは三脚に固定し、撮影のあとでレタッチを加えて三脚を消したりする。撮影は多くの場合、月も風もない、何もかもが静かな夜に行われる。そして4分の露出時間を使って、その風景に奇妙な発光効果をもたらすのだ。

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パイエはここ3年間を、キャンピングカーの中で過ごした。よい気候条件を求めて、国中を旅していたのだ。ヴァンクーヴァー島のケネディ湖から、ケベックのラ・モリシー地域国立公園まで、彼の行く先にはもれなく光の箱がついてくる。

無人の埠頭を撮るときも雪のつもった樹木を写真に収めるときも、彼を惹きつけるのは平凡さだ。「壮大な風景を探しているわけではないんです」とパイエは言う。「壮観な写真や大げさな写真には、むしろ嫌悪感を覚えます」

輝く正方形は、常にフレームの中心に浮かんでいる。その正方形は見る者の目を引きつけてやまないのだが、いちばん面白いのは、それによって周囲の景色がより魅力的になっていることである。「Alternative Landscapes」においては、自然の美のなかにあるこの人工要素こそが、魔法を生み出しているのだ。