国連南スーダン派遣団(UNMISS)の平原弘子ベンティウ事務所長が会見。内乱や戦争が繰り返された南スーダンで、9万人の避難民を文民施設に保護し、人権支援、人道保護に各国メンバーを率い総力を挙げている、と強調した。

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2016年6月16日、国連南スーダン派遣団(UNMISS)の平原弘子ベンティウ事務所長が日本記者クラブで会見した。南スーダンでは、内乱や戦争が繰り返され、100%の人たちが平和を知らないので平和構築が困難としながらも、9万人の避難民を文民施設に保護し、人権支援、人道保護に各国メンバーを率い総力を挙げている、と強調した。また「中国のプレゼンスが南スーダンでは非常に大きく、発言力もある。ポジティブな影響力もあり、(日本人として)歯がゆい思いもある」と語った。

平原さんは米ミシガン大学出身。2001年から、ジュネーブの国連環境計画バーゼル条約事務局やニューヨークのユニセフ本部に勤務した後、PKO(国連平和維持活動)ミッションへ。リベリア、ダルフール、キプロスのミッションを経て、南スーダンの東エクアトリア州事務所長を3年間勤めた後、16年2月から現職。

南スーダンは11年に独立したが、わずか2年で内戦に突入。キール大統領の政権軍と、マシャール副大統領ら反政権派が対立し、激戦を展開した地域の1つが油田地帯の北部ユニティ州だった。州都ベンティウは14年、1カ月ごとに支配者が入れ替わる激戦地だった。南スーダンでは15年8月の和平協定がようやく機能しつつある。今年4月末にマシャール副大統領が首都ジュバに戻り、キール大統領と共に暫定政府を発足させた。

平原さんが事務所長を務める国連南スーダン派遣団(UNMISS)ベンティウ事務所は約9万5000人の避難民を国連文民施設に保護。モンゴル軍、ガーナ軍、カンボジア軍、インド軍、国連警察や刑務官も取りまとめている。 発言要旨は次の通り。

PKOに資金を拠出している米英日3カ国の中で、日本政府は巨額を出しているのに、、政治色が非常に薄いので、悪口を言う人はあまりいない。これは非常に大きなことだが、先進国の日本とアフリカ諸国のギャップが大きい。私は戦後の日本がどのように復興したのかと考えながら仕事をしている。すべて廃墟となり、なくなってしまったところから、サクセスストーリーにつなげた方策は参考になると思う。

南スーダンではかつて日本人の職員が少なかったが、女性を中心に増えている。国連に興味を持つ人が増えてきた時期に、ちょうど南スーダンが独立して露出が増えた。タイミングが合って募集に応じる人が増えたと思う。

南スーダンで大変なことは、一番新しい国なので、インフラが全く整備されていないこと。既に歴史のある(制度や施設などが)出来上がった国では、内乱や戦争があっても、平和時のことが分かっているので、復興に当たり住民に平和ってこういうものだと教える必要はない。ところが南スーダンでは、内乱や戦争が繰り返され、平和を知らない人がほぼ100%なので平和を構築していくのが難しい。大統領はじめトップの人たちも分かっていない。

中国のプレゼンスが南スーダンでは非常に大きく、発言力もある。中国の意見なら聞くと言う人も多い。平和をサポートするということではポジティブな影響力がある。日本はセキュリティが少しでも危険だとNGOが足踏みして来ないが、安全第一は分かるが、もっと広げればいい。財力もあるし、日本の運営の仕方はいいので、歯がゆく思う時がある。

文民保護区の人口はかつて12万5000人いたが、今は9万人と3万5000人が元の住居に戻った。帰還場所がいかに安全かを確認する作業が必要だ。国連機関での連携が大事だと思う。PKOが警護しながら、安全確保をして、援助機関が活動できるようにサポートするようにしている。(八牧浩行)