すべての外食が危険ではないが……(shutterstock.com)

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 外食をするとき、食材を買うとき、私たちは無意識に「体に悪いものは売っていないはずだ」と考えている。そしてそれは、ある意味、事実である。日本で提供されているのは、基本的に「安全」な食品だ。ただし、ここでいう「安全」とは、急性毒性がないということであり、継続的に食べた場合の安全性は誰も保証してくれていない。

 「ファストフードやコンビニの弁当など、外食産業で提供される『食』は、身体に悪いもので満ち溢れているんですよ」と『行ってはいけない外食 ――飲食店の「裏側」を見抜く!』(三笠書房/知的生きかた文庫)の著者である南清貴さんは話す。

 南さんはフードプロデューサーとして外食産業に携わっており、自身もオーガニックレストランを経営していたこともある。決して外食産業自体を否定しているわけではないが、「正しい知識をもたずに、なんとなく外食をしていると、とんでもないものを食べていたなんてことになりかねない。そのようななかで、自分の身体を守っていくためのヒントを伝えたくて、この本を書いた」という。

食べることは自分への投資

 私たちの体は食べた物でできている。食事は単なる消費ではなく、自分の身体に栄養素を摂り込む行為であり、将来の自分にとっての重要な投資である。しかし、本当に正しい知識をもって食べている人はどれほどいるだろうか?

 例えば、「遺伝子組み換えの食品を食べたいか、食べたくないか?」という質問をすれば、大半の人が「食べたくない」と答える。しかし、そういう人でも、食べている肉の餌にどの程度の遺伝子組み換えトウモロコシが使われているか、考えたことがあるだろうか?

 「そんなことを言っていたら食べる物が何もなくなる」という声が聞こえてきそうだが、南さんは「実は食べるものはいっぱいあるんです。そこに目が向かないだけなのです」と力を込める。

 南さん自身も出張が多く、外食せざるをえないことが多々あるが、よく調べれば安全な食事を提供している店は見つかるので、そうした店を選んで食事をしているという(今年の4月から、ブログでお勧めの店の紹介も始めた)。「特別にお金をかけなくても、正しい知識と意識をもてば、本物の食事はできる」と話す。

 例えば本書では、「チェーン店と個人店ならば、断然個人店を選ぶ」といったヒントが紹介されている。チェーン店はほとんどの場合、効率化とコストダウンのため、材料を一括で仕入れ、セントラルキッチンで調理して各店舗に配送。店では温めるだけで提供することが多い。そうして提供される食品の材料には、鮮度が落ちないように大量に食品添加物が使われている。また、濃い味付けにするとクオリティがごまかせるので、そもそもの素材が粗悪である場合も少なくない。
消費者側が意識を変えて行動で示す

 忘れてはいけないのは、このように食事の安全性が損なわれている現実は、消費者側が作ってきたということである。安さを求める消費者のニーズに応えるべく、経営側が安価に効率よく食事を提供できる仕組みを作ったのだ。

 消費者としては、ただ外食産業を非難するのではなく、この点をしっかりと意識しておかなくてはならない。そしてこのままで嫌だと思うなら、購買という「投票行為」で自分の意志を表明する必要がある。そうしないと現実は変わらない。

 「自覚のある人がまず、『こういう店には行かない』と行動で示すことが大切です。それが少しずつでも広がっていけばいい」と南さんは語る。

 それでは具体的に、どのような食事をしたらよいのか? 次回はその点を伺う。
(インタビュー・文=梶浦真美)


南清貴(みなみ・きよたか)
EPIC LLC./Atelier KIYO代表。フードプロデューサー。一般社団法人日本オーガニックレストラン協会 代表理事。
舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、 全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂やクリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。 最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは 一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。 日本オーガニックレストラン協会では、オプティマルクッキングアカデミーを開講し「家庭料理のシステム化」を教えている。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。2011年「農」に密着した活動を行うことを決意し、岐阜県大垣市に拠点を移す。