マーリンズ・イチロー【写真:編集部】

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大半は今季3000本到達困難の予想、開幕前の打率予想は.250前後

 15日(日本時間16日)に敵地のパドレス戦で2安打を放ち、日米通算4257安打としたマーリンズイチロー外野手。日米通算安打数でピート・ローズの歴代最多安打(4256本)を超えたイチローは、メジャー通算安打と2979安打とし、3000本安打まで残り21本となった。次なる金字塔は射程内だが、開幕前にこの好調を予想した人はいただろうか。米主要紙「ワシントン・ポスト」電子版では、「イチロー・スズキは開幕前の予想が間違っていたと証明している。これがその理由」と題した記事で、今季の活躍を検証している。

 昨季マーリンズに加入したイチローは第4の外野手として、キャリアワーストの打率.229を記録。メジャー16年目の今年は42歳という年齢も加味され、野球専門の米データサイト「ファングラフス」など複数のサイトでは、レギュラーとして十分な出場機会が与えられた場合「打率.249から.251が妥当」と予想されていたという。記事の執筆者でもあるニール・グリーンバーグ記者自身も「最も楽観的な見方をしても173打数43安打で、今季3000本達成は疑わしいという原稿を書いていた」と告白している。

 記事内では、大方の予想が間違っていたことを、さまざまなデータを紹介しながら検証している。今年は全打席に対して約9.3パーセントの割合で四球出塁をしていて、これは2002年の自己最高値に迫る勢いだそうだ。結果として、三振の割合(約5パーセント)は最近3シーズンの半分に減少。イチローが見逃し三振をしたのは140打席でわずか2度、空振り三振の割合は昨季の7.9パーセントから3.5パーセントに減っているという。

現在のペースを保てば3000本安打達成は7月中旬と予想

 さらに、一般的に選手は年齢が上がると速球に対応しづらくなる傾向にあるが、今季のイチローはその例に当てはまらない。記事によれば、今季はフォーシームが決め球だった場合、46打数20安打、打率.435と好調で、シンカーに対しても28打数11安打、打率.393と、むしろ得意にしている傾向がある。フォーシームに対する昨季打率は.243、シンカーは.247だったというから、驚きの上昇だ。

 ボールがバットに当たってインプレーになった時は、打球が安打になる確率=打率は.370でリーグ平均の.289を圧倒的に上回り、さらに同条件で自己最高だった2009年の.389に迫るそうだ。記事では、「ファングラフス」のデータを引用し、6月に記録したボールがインプレーになる確率(95.4パーセント)は、2000年にトニー・グウィンが記録した96.2パーセントに次ぐ高確率であると紹介している。

 グリーンバーグ記者は「このペースでいけば、(3000本安打達成の)祝賀会は7月中旬のカージナルスとのシリーズ中に期待できるだろう」と予想。同時に、メジャーの長い歴史を紐解いても、「3000安打+500盗塁+通算打率3割」はタイ・カッブ、ポール・モリター、エディ・コリンズの3人しか達成してないことにも触れている。イチローがそのエリートクラブに仲間入りする日も、そう遠くないかもしれない。