SpaceXのロケット着地、今回は失敗。しかし人工衛星2機の軌道投入には成功、マスクCEOは「今年は実験の年」とコメント

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6月15日(米国時間)に打ち上げられたSpaceXのFalcon 9ロケットが、通信用人工衛星2機の軌道投入に成功しました。一方、昨今恒例ともなっているFalcon 9ロケット第1段の洋上着地試験は、今回は残念ながら失敗に終わっています。成功するたびにSpaceXのライブ中継が「USA! USA!」と大騒ぎになるfalcon 9の洋上着地は、前回までに3回連続で成功を収めており、もはや"できてあたりまえ"といった雰囲気すら漂います(前回に関しては下記記事を参照ください)。とはいえ、無人船"Of Course I Still Love You"、略してOCISLYへのロケット着地シーンはやはり見応えのあるもので「きっと今回も成功するだろう」と思いつつ楽しみにライブ中継を見ていた人も多いかもしれません。

3連続でロケット第1段の洋上着地に成功。SpaceXのFalcon 9、タイ通信衛星Thaicom 8 打ち上げミッション

ところが今回の着地は非常に多い黒煙と、直後に炎があがったのが見えたところで映像がとまってしまい、すぐには成功なのか失敗なのかわからない状態になりました。これまでの経験に照らすと、映像がとまってすぐに回復しない場合は失敗の可能性が高いと言えます。事実ロケットは着地に失敗していました。
  
SpaceX CEOイーロン・マスクは「3基あるエンジンのうち1基の出力が弱かった」、「着陸速度はそれほどでもなかったが、無人船への衝撃に機体がもたずエンジンを潰してしまった」とツイート。さらにその後、遠距離から着地を撮影した動画を公開し「着地用の液体酸素燃料が予定より少し早く尽きたようだ」と分析しました。
 
 
今回の失敗は、3回連続した成功に気持ちが慣れつつあったSpaceX社員の気をふたたび引き締める結果となりそうです。イーロン・マスクは「今年初め、(ロケット着地の)成功率は良くて70%と予想していた。2016年は実験の年なんだ」としています。

ちなみに、今回のFalcon 9の積荷は仏EutelsatのEutelsat 117 West Bおよび中国Asia Broadcast SateliteのABS-2A。いずれも米ボーイングが製造する702バスと呼ばれる機体を使った通信衛星で、機体制御にイオンスラスターを利用する「オール電化型衛星」でもあります。

702バスを使う利点は、イオンスラスター採用によって燃料タンクが不要になり、2機をコンパクトに合体した状態でロケットに積み込めること。これまでこのクラスの衛星を2機動時に打ち上げるには、欧州Arianespaceが製造するAriane 5のような大型ロケットが必要でしたが、702バスで合体させることで、はじめて中型クラスのFalcon 9での打ち上げが可能となり、打ち上げコストの削減も実現しています。