バッテリーEVを次世代エコカーの主軸に据えている日産自動車。

500km以上の航続可能距離を目指すなど、今後もバッテリーEVを主役と据えながらも、バイオエタノール燃料を使う、新しい燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」の技術を発表しました。

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技術説明会では副社長の坂本秀行氏(下の写真左)、日産自動車 総合研究所所長の土井三浩氏(下の写真右)が同技術の利点などを解説。

「e-Bio Fuel-Cell」システムは、バイオエタノール燃料を使うレンジエクステンダーという位置づけで、同システムを積んだプロトタイプもテストされているそうで、「絵空事ではない」と強調しているのが印象的でした。

今回、日産が発表したのは、バイオエタノール(100%もしくは、水とエタノールの混合水)をタンクに補給し、改質器により水素に改質、SOFC(固体酸化物型燃料電池)と呼ぶFCスタックが発電を行ってバッテリーに蓄電し、モーターによる電動駆動するというシステム。

SOFC(固体酸化物型燃料電池)は、700〜1000℃(技術革新により年々下がっているが動作温度には700℃は必要)にもなる高温の固体電解質を使った燃料電池で、家庭用エネファームのひとつのタイプとしても採用。大阪ガスやトヨタ、アイシンなどにより化石燃料を使い、発電効率46.5%を実現しすでに市販化されています。

SOFCは、酸素と反応する燃料であれば発電し、トヨタMIRAIが採用するPEFC(固体高分子型燃料電池)のように高純度の水素が不要で、純度の低い水素でも発電でき、コンパクトな車載システムの設計が可能というのが利点です。

さらに、高温で作動するため希少金属を使った高活性な触媒も不要というメリットもあります。

しかし、SOFCは発電効率が一般的に40〜70%(日産の同システムは60%)といわれている高さが魅力でも、700℃にもなる高温への対策が課題でした。そこで、FCスタックの材料をセラミックから金属ベースに変更をもくろみ、その目処が経ってきたことが、今回の発表に至った理由のひとつのようです。

なお、熱源があることは、常温と700℃の間を行ったり来たりするため、スタックが割れてしまうというデメリットがあります。

逆にメリットは「熱源を持つ」という点。バッテリーEVがヒーターなどを使うと航続可能距離が急速に短くなってしまうことからも分かるように、熱源の確保に心配する必要がないという、長短を併せ持っているのも特徴です。

ほかにも長短いくつもありますが、別記事でもご紹介します。なお、市販化は2020年を目指し、デリバティブ・ユースの商用車などが想定しているそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

2020年にも実用化!? バイオエタノール燃料使用の「e-Bio Fuel-Cell」技術(http://clicccar.com/2016/06/17/379044/)