中国メディア・新浪は13日、米国の高速鉄道建設において中国との建設協力計画が頓挫したことを紹介したうえで、中国高速鉄道の世界進出が困難になっている原因について論じた文章を掲載した。(イメージ写真提供:(C)chuyu/123RF)

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 中国メディア・新浪は13日、米国の高速鉄道建設において中国との建設協力計画が頓挫したことを紹介したうえで、中国高速鉄道の世界進出が困難になっている原因について論じた文章を掲載した。

 文章は、米中合弁の高速鉄道建設が中止に追い込まれた理由として米国側が「種々の困難に直面し、関連項目において中国側が米国政府からの許可を得られなかった」としたことを紹介。中国の高速鉄道は1キロメートルあたりの建設コストが世界平均の約半分という大きな武器を持っているにもかかわらず、「経済以外の要素による干渉を非常に多く受けている」として、具体的な要素を3点示した。

 1点目は、「各国による高速鉄道建設の政治化が著しい」こと。米中プロジェクトの挫折は政党間における利害意識の違いによるものである可能性が高いとしたほか、タイの「高速鉄道とコメを交換する」プロジェクトでも、インラック政権が崩壊してできた軍政府が「違憲」と判断を下し、メキシコのプロジェクトも野党の反対で破談になったと紹介した。

 2点目に示したのは、「国外の労働、環境保護、文化に関する大きな影響」だ。中国が日本に競り勝って受注したインドネシアのプロジェクトは、土地収用、環境保護が原因で棚上げ状態となっており、サウジアラビアの都市鉄道プロジェクトでは、現地の法規や習俗に対する中国側の理解が不十分だったため、工期が遅れて人的コストも倍増したと解説している。

 そして3点目は「日本の存在」だ。インドの高速鉄道建設において日本が受注して中国が失注した理由について、日本政府が提供した条件がインドにとってより良いものであった点に加え、日印関係が中印関係よりはるかに良好なもので、中印関係は「協力よりも競争の方が大きい」という状況があったことを指摘した。

 文章は最後に、中国高速鉄道の建設能力は日増しに強まり、建設コストの優位性も明らかであるが、「重要なインフラプロジェクトとして非経済的な要素の干渉を受けやすい」ため、今後もなおリスクや試練に直面することになると結んだ。

 高速鉄道をはじめとする大規模なインフラ開発プロジェクトは、単にその受注金額だけに留まらない大きな価値と意味を持っている。それゆえ、中国も世界進出に躍起になり、日本をはじめとする鉄道先進国も受注を目指して火花を散らし合うのだ。中国は国力や地域に与える影響力が非常に強いゆえ、インフラ建設ニーズを持つ各国はより慎重に受注の可否を検討、判断せざるを得ない、という点も中国側は十分に理解しておかなければならない。よりスムーズに世界進出を実現したいのであれば、相手のことを十分に理解したうえで、相手の緊張をほぐしていく姿勢を持つことだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)chuyu/123RF)