カリフォルニアのスーパーに並ぶ「SHIRATAKI(しらたき)」の数々

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トウフ、スシ、ナットー、サシミ......。多くの和食が「オ〜、ヘルシー!」と海外で人気になって久しい。それぞれが日本人も納得の健康食品だが、近年、「ええっ、アレが!」と驚くほど地味な食べ物がヘルシーなダイエット食品として爆発的な人気を呼んでいる。しらたきである。

しらたきが受ける理由を調べていくと、確かに目からウロコの健康効果がいっぱいある食品だった。

米では学校給食の食材に使う動きまで

米カリフォルニア州在住の日本人女性によると、スーパー店内の一角に「しらたきコーナー」があるという。そこには「TOUFU SHIRATAKI」(豆腐しらたき)、「Skinny Noodles(スキニー・ヌードル)」(注:スキニーはやせ細る)、「Miracle Noodles(ミラクル・ヌードル)」(注:ミラクルは奇跡)など様々な名前のしらたきが所狭しと並んでいる。日本では、しらたきといえば糸コンニャクと同じとみられ、豆腐や納豆、おでん種と同じ売り場に並んでいるが、米国では麺類やパスタと一緒に売られているのだ。パスタの本場イタリアでもしらたきは大人気で、「ゼン(禅)パスタ」と呼ばれているそうだ。

日本では、しらたきはスキヤキや煮物が一般的だが、米在住の日本人のウェブサイトを見ると、超低カロリーのパスタ代用品として食べられているようだ。学校給食の食材として採用する動きまであるという。もっとも、カロリーが2分の1と聞くと、「まあ、うれしい! 2倍食べられるわね」というお国柄だから、必ずしもヘルシーとは言い難い食べ方もある。チーズやベーコンがたっぷりのカルボナーラ、細かく刻んでアイスクリームやハンバーグの具材にするなどだ。

カロリーはパスタの25分の1、意外に多いカルシウム

それはともかく、したらきが米国やイタリアで人気を呼ぶのには理由がある。栄養の専門家のウェブサイトをみると、次のような健康効果があるからだ。

(1)ほとんどが水分でカロリーがゼロに近い。約90〜95%が水分で、カロリーは1玉200グラムで12キロカロリーしかない。100グラムで6キロカロリーは、パスタの平均が100グラムで150キロカロリーだから、25分の1だ。パスタ代わりに食べると、ダイエット効果は抜群だ。

(2)食物繊維が豊富。原材料のコンニャクイモにはグルコマンナンという食物繊維がたっぷり。グルコマンナンは人間の消化酵素では分解できず、体内に入ると水分を吸収して大きく膨らむため満腹感を得やすい。腸のぜん動運動を刺激して便秘解消効果がある。

(3)栄養価がないと思われているが、意外にもカルシウムが豊富。100グラム中に約75ミリグラムある。カルシウムの宝庫といわれる牛乳が100グラム中に約110ミリグラムだから、侮れない量だ。

(4)歯ごたえがあるので噛む回数が増える。よく噛むと腸内細胞から「GLP-1」というホルモンが分泌される。GLP-1はインスリンの分泌を調節し血糖値を下げる働きがあるといわれている。また、咀嚼回数が増えるとあごの周辺の筋肉を使うため、顔が引き締まる。小顔効果が期待されるのだ。

スキヤキにそのまま入れるとダメな理由

ただし、食べ方には次のような注意点もある。

(1)カロリーが低いからといって、三食すべてパスタ代わりに食べると、さすがに栄養とエネルギー不足になり、倒れてしまう。何事もバランスが大切だ。

(2)スキヤキに直接入れてはダメ。しらたき製造過程に使われる凝固剤の水酸化カルシウムがスキヤキの中で溶け出し、肉が固まるのを促進してしまう。だから、しらたきを前もって下ゆでしたり、肉と離して間に豆腐をはさんだりすると、肉がやわらかく美味しいままになる。

(3)キノコや海藻と一緒に食べるとよい。しらたきのグルコマンナンは不溶性食物繊維だ。腸を刺激して便秘を解消するものの、とり過ぎると逆に便の水分を吸収して固くしてしまう。そこで、水溶性食物繊維の豊富な海藻やキノコ、納豆、オクラ、アボカドなどと一緒に調理して食べると、便に水分を与えてやわらかくする働きがある。不溶性と水溶性の両方の食物繊維の相乗効果で、理想的な便秘解消が期待できる。

(4)水分を飛ばしてから調理しよう。しらたきをパスタやラーメン、焼きそばなどの麺の代わりに使いたい時は、下ごしらえに工夫を。フライパンで炒めて水分を飛ばすと、ソースなどが絡みやすくなる。また、独特の臭みも減る。これは煮物の時にも使える方法だ。

こってりしたラーメンや焼きそばが無性に食べたくなったら、ぜひお試しあれ。