オリジナル作品作りは超人気監督にだけ許された特権!?/左から山田洋次監督、三谷幸喜監督、北野武監督

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近年マンガ原作&小説の映画化やシリーズ作が増え、観客の注目を集めてヒットする一方、映画オリジナル脚本の作品はヒットしづらい傾向にある。

映連が毎年発表する興収10億円以上の邦画実写の中で、映画オリジナル脚本の作品を見ると、2012年は『のぼうの城』『あなたへ』『エイトレンジャー』『ロボジー』の4本(『のぼうの城』はオリジナル脚本が先で、その後、小説化)。13年は『そして父になる』『清須会議』『謝罪の王様』『東京家族』『クロユリ団地』の5本。14年は『超高速!参勤交代』の1本。15年は『龍三と七人の子分たち』『バンクーバーの朝日』『ギャラクシー街道』の3本。興収10億円以上の邦画実写は毎年20数本にのぼるため、映画オリジナル脚本の少なさが際立っている。

いわゆるインディペンデント作品ではオリジナル脚本は多いものの、全国公開作で興収10億円以上のヒットを狙おうとすると、オリジナル脚本作は難しい。オリジナル作はタイトルを観客に認知させることから始めなければいけないからだ。

小説の映画化となれば、出版社が小説の表紙を変え、映画化と帯をつけて全国の書店に配本するため、タイトル認知を上げやすい。また人気マンガやテレビドラマの映画化なら最初から認知度が高い。

映画オリジナルといっても、三谷幸喜(『清須会議』『ギャラクシー街道』)、山田洋次(『東京家族』)、北野武(『龍三と七人の子分たち』)と知名度の高い監督作にヒットが多い。

現在の観客が保守化している状況もある。1980年代から90年代、観客は新しい価値観や生き方を求めて映画館に行った。新しい出会いができるときもあれば、外れる時もあったが、外れることも含めて映画館へ冒険に行った。

だが、今の観客は1800円を支払う以上、ある程度内容を分かった上で映画を見に行く。見に行って「ダメだった」という思いをしたくない傾向が強まっている。だからテレビドラマの映画化や、マンガ・小説のベストセラーに観客が集まるのだ。

観客が保守化すると、製作サイドも保守化する。映画製作にあたり、製作委員会が作られ、映画会社、テレビ局、出版社、広告代理店、パッケージメーカーなどが製作費を出し合う。それぞれのメンバーが「テレビドラマの映画化や原作の映画化の方がヒットが見込める」と考え、結果的にこれらの作品が増えていくことになる。

「鶏が先か、卵が先か」ハッキリとしたことはいえないが、観客側と製作側の行動が重なり合って、映画オリジナル脚本の作品がヒットしづらい傾向を強めているのだ。

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