さまざまなことに興味を持てる好奇心や目標を決めて粘り強く努力する意欲、他者と力をあわせる協調性、誠実さ。そういった性格や特徴が今、「非認知能力」という言葉に置き換えられて注目を集めている。

学力を底上げするだけでなく、その子の人生の学び自体を支えてくれる「非認知能力」を高めるためにはどうすればよいのか。早くからこのスキルの重要性に気づき、3人の息子の子育てにも実践してきたアグネス・チャンさんに話を聞いた。

「この先の時代に最も求められるのは、想像力だと私は考えています。これからはイノベーションがすべて。今の大人たちが想像もできない、現状にはまだないものを作り出せる能力こそが、この先はさらに大事になってくるのではないのでしょうか」(アグネスさん 以下同)

そう考える根拠は、やはり昨今の社会動向の変化の速さだ。

「ここ数年、インターネットの進化と普及によって社会が変化するスピードがすごく速くなりましたよね。10年後に社会がどうなるのかなんて予測できない。だからこそ、どんな変化が起きても『お、面白い。さあ次はどうなるかな?』と楽しめるような姿勢が必要になるのではないでしょうか」

●好きなことをとことん伸ばす工夫が非認知能力をはぐくむ

もちろん想像力だけではイノベーションできない。想像した未来図を実現するためには、創造力や集中力、判断力、協調性といった「非認知能力」も必ず必要になってくる。

3人の息子たちをそろってアメリカの名門スタンフォード大に合格させたアグネスさんの教育メソッドもまた、非認知能力を高める工夫がされていた。

「例えば、長男は料理に興味があったので、3歳から野菜の皮をむいたり、切ったりという作業をキッチンで一緒によくしました。料理って集中力や判断力を高めるためにとても良い作業なんですよ。そんな風に、まずはわが子を観察して、何に興味があるのか探ってみては?」

パズルやレゴ、積み木、お絵かき…何でもいい。親が子どもの関心に寄り添い、一緒になって根気よく作業を続けると、子どもは自然に集中力を高められるようになるのだという。

2018年度から実施予定の幼稚園教育要領・保育所保育指針には、非認知能力に関わる内容が多く盛り込まれると予想されている。テストの点数だけで「できる/できない」をジャッジする時代は、もう終焉に差し掛かっているのだ。

(阿部花恵+ノオト)