「折り紙」をつかった、胸中がざわつく肖像写真の数々

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この奇妙なポートレイトは、ロンドンのフォトグラファー、アルマ・へーザーの作品だ。彼女は写真の顔の部分を使って、折り紙の「くす玉」に似た立体を折り、見るものが混乱するような不思議なポートレイトをつくりあげた。

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アルマ・へーザーの写真には、ファッショナブルな装いの被写体、正確に当てられた照明、完璧なポーズといった、素晴らしいポートレイトをつくるのに必要な要素がすべて備わっている。しかしその顔、もしくは、もとは顔“だったもの”を見てみると、ひどく違和感を覚える。

Cosmic Surgery」シリーズのなかで、へーザーは被写体の顔の目、鼻、口を幾何学的に配置している。Photoshopの魔法のように見えるかもしれないが、ポートレイトはすべて彼女が手づくりしたものだ。顔の部分を切り抜き、折り紙のようにそれを折り、それを写真に収めるという、実に骨の折れる作業である。

ヘーザーはドイツ生まれだが、人生の大半をイギリスで過ごした。ノッティンガム・トレント大学で写真を学んだ彼女は、そこで折り紙にも興味をもちはじめる。しかし、彼女がこのふたつを組みあわせるアイデアを思いついたのは、卒業したあとのことだった。

「被写体になるのが嫌いなので、セルフポートレイトを撮るときは、よく顔を覆ったり隠したりしていました」と彼女は話す。「自分の顔を見せなくて済む方法がほかにもないか探していて、マスクを使うというアイデアが気に入りました。折り紙とマスクへの愛を組みあわせるというのは、理にかなっていたのです」

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彼女は紙を精巧に折り、それを顔にくっつけ始める。確かに面白いアイデアではあったが、特別見た目に心地よいわけでもなかった。しばらく考えたあと、彼女はマスクをつくるのに、その写真の顔を使ったらどうかと、ふと思いついた。2012年、彼女は「Cosmic Surgery」の最初のポートレイトをつくった。

「Cosmic Surgery」というタイトルは、彼女の失読症から生まれたものだ。彼女は“cosmetic”という言葉を“cosmic”と読み間違えたのである。

同じような視覚上の混乱は、彼女の写真のなかでも起きている。

一瞬でその写真に映るものが何なのかを理解するのは、不可能に近い。モデルのことをよく知っている人ですら、その写真に写っているのが自分の最愛の人であることに気がつかないことがよくある。

モデルに関していえば、ヘーザーは友人でも、近親者でも、道で会った知らない人でも、自分が興味をひかれた人を撮影する。彼女は、際立った特徴とスタイルをもつ人にいちばん強く興味を惹かれる。「珍しい外見の人が好きです。少し目や唇や鼻が大きいとか、基本的にわたしに無いものなら何でも」と彼女は冗談めかして言う。

本当の仕事は、ヘイスティングス近くにある彼女のスタジオで写真を撮ったあとに始まる。ヘーザーは大きなポートレイトを1枚と、90枚ものモデルの顔写真を印刷する。そのあと数時間かけて、その顔写真を折り紙の「くす玉」に着想を得たという複雑な形になるよう、丁寧に折っていく。

自分の気に入った形ができると、ヘーザーはそれを大きなポートレイトの上に置き、写真を撮る。顔の複雑さによっては、この過程に24時間かかることもあるという。