前回の更新分で触れた藤春廣輝が、オーバーエイジに内定した。6月14日に発表された。

 リオ五輪に出場するU−23日本代表の最終ライン左サイドは、ガンバ大阪でプレーするこのレフティーに託された。1月のアジア最終予選でレギュラー格だった山中亮輔の五輪行きは、これで事実上消滅したことになる。

 山中は中盤でもプレーできるが、五輪の登録人数は18人だ。左サイドのスペシャリストを、2人連れていくとは考えにくい。

 柏レイソルに所属する山中は、ケガの影響で5月8日のJ1リーグを最後にピッチから離れている。トゥーロン国際の時点で手倉森監督は、「6月いっぱい」をケガ人のコンディションが回復するリミットにしていたが、藤春の招集で左サイドバックについては決断を下したと言える。

 同日にはもうひとりの内定者が明らかになった。塩谷司である。

 サンフレッチェ広島で3バックの右サイドを担当するこの27歳は、4バックのセンターバックと右サイドバックでもプレーできる。ボランチの選択肢になることもできるが、奈良竜樹(川崎フロンターレ)が長期離脱中で、岩波拓也(ヴィッセッル神戸)がトゥーロン国際でけがをしたセンターバックは、OAによる補強が必要なポジションだった。

 右サイドバックでは、最終予選に出場した室屋成(FC東京)と松原健(アルビレックス新潟)が、ここにきて所属クラブでピッチに戻ってきている。ただ、塩谷が加わったことで、手倉森監督はどちらか一人を選ぶことになりそうだ。

 左サイドは藤春と亀川諒史(アビスパ福岡)、右サイドは塩谷と亀川で、基本的には対応可能である。だが、DFは累積警告による出場停止と背中合わせだ。センターバックとサイドバックを3人ずつ、合計6人は必要だろう。

 3人目のOAは、まだ発表されていない。それだけ複雑な事情が絡んでいる、ということだ。

 候補として名前があがっているのは、興梠慎三と大迫勇也だ。

 浦和レッズでの興梠は、1トップを基本に2シャドーの一角でもプレーする。最前線でしっかりとボールを収める力は、4−4−2と4−2−3−1が多い手倉森監督のチームでも生かされる。

 1トップでも2トップでもプレーできるのは、大迫にも共通する。14年のブラジルW杯に出場している経験も、彼の付加価値のひとつだ。試合会場はW杯と違うものの、現地の空気感を知る選手の存在は頼もしい。

 OA招集へのハードルとなるのは、やはり所属クラブだろう。

 ドイツ・ブンデスリーガの新シーズンは8月26日で、リオ五輪で決勝まで勝ち進んでも開幕戦に出場することはできる。ただ、プレシーズンの準備に参加できないこと。クラブ内での序列が、下がってしまうことは避けられない。

 どちらが選ばれるとしても、あるいは違う選手がOAに指名されるとしても、その決定は尊重されなければならない。

 OAとして五輪に出場できるのは、紛れもなく名誉なことである。ただ、義務ではない。辞退する権利はある。OAという立場を受け入れた選手とその所属クラブは、称賛されるべきだと思うのだ。