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仏Dassault Systems(ダッソー)は4月、通信技術大手のエリクソンがダッソーの3Dエクスペリエンスプラットフォームを採用したと発表した。エリクソンは既存プラットフォームやシステム群を3Dエクスペリエンスプラットフォームに置き換えることになる。海外報道によれば、まず開発部門25000名を対象に新プラットフォームの導入を進め、順次拡大していくという。

初年度だけで推定数千万ドル規模と報じられているこのビッグディールが成立した背景について、ダッソーのハイテク部門を率いるオリビエ・リベ氏に話を聞いた。

○ビジネスモデルの変革に迫られたエリクソン

リベ氏によれば、エリクソンが属する通信機器業界は10年ほど前にビジネスモデルの変革を迫られたという。「エリクソンは長年、通信機器を通信事業者に提供してきた。しかし、コスト面から顧客が機器を購入しなくなり、ハードウェアに組み込まれているソフトウェアのアップデートだけでネットワークを変更できるようにする必要があった」(リベ氏)。

また、製品・サービスがハード中心からソフト中心に移っただけでなく、業界統合により競争が激化し、製品・サービスのライフサイクルが格段に短くなったことも、ビジネスモデル改革の必要性をさらに高めた。

同氏はさらに「エリクソンの顧客となる通信事業者ではサービスのバリエーションが多様化している。例えば、所有しているスマートフォンが同じでも、ユーザーが加入したプランによって月ごとの通信量などが異なる。エリクソンの場合、世界中の通信事業者ごとのニーズに応える必要がある。さらに、国ごとの法令を守らなければならないし、同じ国の中でも異なるネットワークが存在するため、それにも対応しなければならない」と語り、通信機器業界は世界で最も複雑性の高い業界の1つとなっていると指摘。

従来、エリクソンはさまざまなシステムを社内で開発・運用していたが、市場の複雑性とビジネスの変化に対応する中で、情報がバラバラになってしまいトレーサビリティが失われてしまっていた。こうした事態に対応するためにエリクソンが進めたのが、グローバル規模で設計からマーケティングまで幅広くデータを統合管理するプラットフォームの導入だったというわけだ。

統合プラットフォームの導入にあたり、エリクソンはダッソーを含む6社の提案を検討したとのこと。その中でダッソーが選ばれた理由についてリベ氏は「我々は長年、製品、人、環境のデータをつなぎ、活用することを訴えてきた。これはまさしく通信機器業界で求められているものだ。通信機器は製品と製品、製品と人をつなぐ。そして製品はさまざまな環境で使用される」と語り、同社の掲げてきたビジョンが通信機器企業であるエリクソンの事業とマッチしたと分析する。

さらに同氏は「3Dエクスペリエンスプラットフォームでは、CADで3Dモデルを設計したら同じプラットフォームですぐさまシミュレーションが可能となる。データをエクスポートしたりインポートする必要はない。現在求められている製品開発サイクルの短さを考えるとこれは非常に重要だ」と語り、増大する複雑性と短い製品ライフサイクルへの対応が求められているエリクソンにとって、3Dエクスペリエンスプラットフォームによる分野を超えた効率的なコラボレーションも選出に至った理由の1つだとした。

(神山翔)