14日、『職場のLGBT読本』の著者、村木真紀・虹色ダイバーシティ代表が日本記者クラブで講演、「性的マイノリティの人たちをもっと理解し、活かすために国・企業・社会が取り組んでほしい」と訴えた。

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2016年6月14日、『職場のLGBT読本』の著者、村木真紀・虹色ダイバーシティ代表が日本記者クラブで講演、「性的マイノリティの人たちをもっと理解し、活かすために、国・企業・社会が取り組んでほしい」と訴えた。

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性的マイノリティ(少数者)とは好きになる相手の性別が「異性だけではない」人たちのこと。レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字をとって「LGBT」と総称される。バイセクシュアルは、異性を好きになることも同性を好きになることもある人。トランスジェンダーは、生まれたときと違う性別で生きたい人。電通総研が15年に実施した調査によると、全体の7.6%と13人に1人の割合。先進G7諸国の中で、婚姻の平等が法律的に認められていないのは日本だけ。中国、韓国なども同性愛者の権利を守る特定の法律がないという。

欧米では市民団体や企業が、性的少数者を支えるための調査や施策を実施している。村木さんは大学卒業後いくつかの企業に就職したが、転職を繰り返した後、13年に仲間と非営利NPO法人「虹色ダイバーシティ」を設立した。名前は性の多様性を祝う象徴とされる「6色の虹」からとった。

女性のパートナーと暮らす村木さんは、同性愛は「病気」「変態」といった否定的な見方があるために、いじめや差別を恐れて打ち明けられない人が多い、と嘆く。自身の経験をもとに「性的少数者も、安心して働ける職場をつくってほしい。『ホモ』『レズ』『オカマ』『オネエ』など侮蔑的な言葉や性的少数者への差別的な言動はハラスメントの一つ。従業員の働く意欲を下げ、心の病や離職に追いやることは企業の損失にもなる」と指摘。その上で、「偏見のせいで、力を発揮できない性的少数者がたくさんいる。『職場の多様性』を課題にしてもらうよう日本の企業に働きかけたい」と力を込めた。

社会労務保険士でもある村木さんは、「周りに虹色のシールを貼って、支援者であることを示そう」「福利厚生や差別禁止規定の対象に、性的少数者も加えてください」「性的少数者であることを打ち明けやすい環境をつくることも大事」と訴えている。

村木さんによると、企業は単なる職場内だけでなく、顧客や消費者に対しても配慮が必要となる。特に、海外に拠点をもつグローバル企業が、同性婚が合法の国・地域で同性カップルが不快に感じる商品やサービスを売れば、賠償問題にも発展しかねないという。

行政も動き出している。昨年、東京都の渋谷区や世田谷区が、同性カップルを「夫婦に相当する関係」と認める書類の発行を始めた。性的少数者が集まって話す会合や、電話相談などを始めた自治体もある。

パナソニック、トヨタ自動車などの大企業も、慶弔休暇などを同性パートナーのいる社員にも広げようと、社内規定の見直しに入った。人出不足の時代、多様性を重視しなければ優れた人材を確保できなくなっていることも背景にあるようだ。国会でも、性的少数者への差別解消を進める法案や、同性カップルに社会保障を与える制度などについて、議論がスタート。村木さんは「社会が変わってきている」ことを実感している。

村木さんは、4年後に開かれる民族の祭典・東京五輪・パラリンピックに期待を寄せ、「男、女、性的少数者、障害のある人、外国籍の人など多様な人たちをすべて受け入れ尊重できる大会にしたい」と意気込んでいる。8月に開かれるリオデジャネイロ五輪でもLGBTが話題となるという。(八牧浩行)