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実家をたたむのは、なかなかエネルギーが必要です。いろいろ思い出もあるでしょうし、親か存命の場合は親の今後の人生設計と自分たちの将来の人生設計をしっかり設定することを求められます。兄弟姉妹など、他の相続人との話し合いも必要となるでしょう。

○大切なのは親や自分たちがどうしたいか

実家をたたむのにどのようなケースがあるでしょうか。両親とも亡くなってしまったケースでもいろいろ考えなければならない点がありますが、むしろ親が存命なケースの方が、複雑になります。施設に入居した場合、ある程度元気であれば正月くらい家に戻りたいと思っているのか。親一人のみ施設に入居した場合、親もう一人の生活費は二重に必要になるが、実家を売却せずに賄えるか。

最近は民泊が話題になっています。マンションでは違法になるところがほとんどでしょうが、戸建てであれば、立地条件次第では可能性が広がります。何もせずに放置すると、維持費ばかりかかる上に、建物は荒れ果てて、利用価値も低くなっていきます。

○早めの対応で維持費を節約

いろいろ検討した結果、実家を売却するとなった場合、処分する費用は状況によってさまざまで一律には論じられません。家財を片付ける便利屋等の費用もかなり違いがあります。いずれにしても処分するのであれば、早い方が、その分維持費を節約できます。数社の見積もりをとって比較してみましょう。

・田舎なのか都会なのか…売却価格、賃貸価格等が異なります
・戸建てなのかマンションなのか…戸建ての場合は家財が多少残っていても、建物と一緒に取り壊し可能です
・老朽化しているのか使用可能なのか…取り壊して更地にして利用するのか、建物付きで売却するのか
・建物の構造と広さ、カーポート等の付帯建物の有無…解体費用に影響します
・家財の量…処分費用、片付け費用に影響します

下記に解体費用の項目を挙げておきます。価格は地方によってさまざまですので省略しますが、数100万円は考えておく必要があります。

○家財は段階的に処分が理想

私の実家のケースは、最初に父親が介護付きの施設に入居しました。母はそのまま実家に一人暮らしとなり、その後わが家で暮らすことが多くなりました。実家には父のものが多くありましたが、明らかにもう必要ないものは、父親に相談せずに、母とせっせと処分しました。

私の持ち物は独立した時、自分自身の住まいを手に入れた時に、実家に行くたびに処分してきましたので、本来はもっとすっきり暮らせるはずですが、やはり実家はそれなりに乱雑になっていたと思います。

父親が亡くなった後は母か実家を処分し、住宅型の高齢者施設に入居しました。何を持っていくか、何を処分するかは、本人がどう暮らしたいかなので、本人に任せましたが、何年か暮らしてみて、「もっとよく考えて選別すればよかった」とは本人の談です。

施設の入居が決まり、一度にいろいろしようと思うと、判断が狂うようです。一般に日本では、いつまでも独立した子供の持ち物が実家に残っているのではないでしょうか。わが家では、仕事に必要なもの、趣味に必要なもの以外は、リフォームを機に自分たちが初めて独立してアパート一間で暮らした時のイメージの暮らしに戻るつもりで、思い切って処分しました。

今も親のようにいつか施設に入居することをイメージして、持っていきたいものをコンパクトにする工夫を日々行っています。目下の課題は膨大にあるアルバムのデジタル化または一冊のダイジェスト版作りです。

早くからの用意周到な準備がなければ、老後を快適に過ごせないばかりか、子どもへと問題を先送りすることになります。それぞれの節目の1年前からスタートするのがポイントです。子供は独立してしまったら、なかなか実家に戻る機会は少なくなります。

・子供の独立1年くらい前から、子供自身に今後の生活に不要なものは処分させる
・子供の結婚が決まったら、再度子供の持ち物を処分させる
・アルバム等は、デジタル化するか、1冊のダイジェスト版をつくる
・60歳の定年1年前から、第二の人生に不要なものは整理する
・伴侶が亡くなったら、伴侶の思い出のものを数点残して、思い切って持ち物を処分する
・同時に単身生活に必要ないものも処分する

○マンションを売るときは現状のままで売るべし

売却を手助けする仲介業者は、きれいにリフォームしたマンションの方が売りやすく、かつ高値に設定できるために、売値に比例されている仲介料も高くなるためにリフォームしてから売却することを勧めます。また、仲介業者は自社でリフォーム工事も行っていることが多く、リフォーム工事でも利益を得ることができます。リフォーム工事の利益率は高くて、相当な利益になるのです。

しかし、付加価値を付けて高くなった売値のリスクは売り主が負わなくてはなりません。売れなければ仲介業者は売値を下げるように売り主に要請すればよく、何ら責任は取りません。若い世代は比較的安いマンションを購入して思い通りにリフォームやリノベーションをすることを好む傾向があります。売り主は場合によってはリフォーム工事代を差し引いた手取り金額は少なくなるケースもあります。リフォームをする場合でも、仲介業者に任せず、自分で数社見積もりを取って、最低限の範囲に止めた方が無難です。

土地に住宅が建っていると、住宅用地として固定資産税が一定範囲1/6になります。最近、取り壊し費用を捻出できなくて、老朽化した空き家が社会問題になっています。「特定空家」に認定されてしまうと、固定資産税は住宅用地としての特例から外れます。解体費用は相当高額になります。

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
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(佐藤章子)