関根勤とデヴィ夫人賛否両論 ハリウッドザコシショウがテレビに残るには

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関根勤は「ニュースター誕生だよね」と喝采し、デヴィ夫人は「あなた正気なの?」と眉をひそめた。
ハリウッドザコシショウである。

3月に行われた『R-1ぐらんぷり2016』(フジテレビ系列)で、強烈なインパクトを残して優勝したハリウッドザコシショウ。12日深夜、優勝のご褒美に冠番組『売れてる奴らに学ぶ!ハリウッドザコシショウ テレビの掟』(同)が放送された。


「地下芸人」として活動していたザコシショウに、ロケや食レポなど「テレビの掟」を教えよう、というこの特番。スタジオには関根勤、デヴィ夫人、川田由美がゲストとしてコメントをしていたのだけど、関根さんとデヴィ夫人のコメントが100%真逆だった。

関根さんはずっと褒め、デヴィ夫人はずっとけなす。
そして二人とも、同じコメントは二度としないのだ。

とにかく褒め続ける関根さん、とにかくけなすデヴィ夫人


関根勤は『R-1』でも審査員を務め、ザコシショウに持ち点3つを全て投票していた。当時は「世間とズレたらどうしよう」と怖かったものの、蓋を開けてみれば優勝。「世間と同調していた。シンクロ関根だった」と笑う。

番組はVTRを見てスタジオでコメントを言う、という流れで進む。スタジオパートのたび、関根さんはずっと褒めるのだ。

登場すれば「ニュースター誕生だよね」、ロケVTRを見れば「飲み込みの早さスゴいじゃない」、武田鉄矢を誇張したモノマネには「シーンが浮かんだ」、ギャグがスベっても「森三中も出たてはこんな感じだったから」と、とにかく優しい。

一方、この日までザコシショウを知らなかったデヴィ夫人。初対面の印象は「裸ダメなのよね」「なんか、そんなの関係ねぇみたいな感じ?」とマイナスからのスタート。

「(23年売れなかったことに)全部当たらなかったの?頭が悪いの?」「あなた正気なの?」「開いた口がふさがらない」「あなたこれで優勝したの?」「なんであなた名前がハリウッドなのか全然わからない」と、コメントを求められるたびDisりっぱなし。

ボキャブラリーの限りを尽くし、100%受け入れる関根さんと、100%受け付けないデヴィ夫人。芸能界で求められるキャラクターに全力を尽くす。これも「テレビの掟」の一つかもしれない。

ザコシショウの「賛否両論」な反応


そんな関根さんとデヴィ夫人のコメントの違いが際立ったのが、ザコシショウが食レポに挑戦したVTRだった。

NSCの同期である、たむらけんじに食レポを教わるザコシ。その成果を試すため、北新地にある高級割烹での食レポに1人でチャレンジする。しかし「たこ焼きの味と同じですね」とコメントしたり、店員の説明を聞き疲れたりと散々。これ以上はお店に失礼、と、コース料理の途中でロケは打ち切りになる。

デヴィ夫人は「全然面白くない」「初めて高級なお店へ行った感動・感激が全然伝わってこない」とダメ出し。確かにザコシの食レポは全く成立していなかった。しかし、関根さんはそんなVTRでも「ニューウェーブだね」と褒めるのだ。

「高級店に初めて行った人間のたどたどしさとか、困った感じがよく出てて、初心を思い出すよね」
「うまい人ばっかりがいてもダメなのよ。うまい人がいて、ザコシショウがポーンと入って、少しガタガタってなって笑って、次に石ちゃん(石塚英彦)なんかが来ると石ちゃんの巧さが際立つ」

完全に真逆である。
この賛否両論な反応には、ザコシショウがR-1で優勝した時の世間の反応を連想してしまう。

「面白すぎる!」「腹爆発した」と絶賛する人がいれば、「なにが面白いのかさっぱりわからない」「気持ち悪い」と受け付けない人もいた。『R-1ぐらんぷり2016』では優勝したが、4ヶ月前に同じネタを披露した『こそこそチャップリン』(テレビ東京系)では不合格だった。

ハリウッドザコシショウは「ヒドいけど面白い」「面白いけどヒドい」を行き来する芸人だ。天秤が傾けば「ヒドい」「面白い」のどちらかに評価が固まってしまう。固まった評価ではなく、極端な2点を行き来する運動そのものが面白い芸人なのではないかと思うのだ。

型を壊すためには、型を知らないといけない


となると、ザコシショウに「テレビの掟」を教える、というこの番組はどういう意味を持つか。

番組では大阪NSC11期生を中心とする同期芸人が先生となった。陣内智則からは情報番組のロケを、たむらけんじからは食レポを、ケンドーコバヤシからはドラマの演技を学ぶ。

それぞれのテレビの仕事には「型」がある。例えば、陣内智則と菊地亜美が「お昼の情報番組」を想定したロケでは、服装、建物の入り込み、リアクション、インタビューまで細かに「型」を教わった(陣内&菊池だとフジ『バイキング』ではなく日テレ『ヒルナンデス!』ではないか、というツッコミはさておき……)

『R-1ぐらんぷり』では「型」を打ち破ったことが評価されたザコシショウだが、テレビの仕事をするには「型」を学ばねばならない。一見、これでは意味がないように見える。型にはまらない人を無理に型にはめようとしているように思える。ただ、「ネタの型」と「テレビの型」は違う。

事実、ザコシショウは「テレビの型」が全くできていなかった。「型」を知らないということは、打ち破り方も知らないということになる。「型」を正しく壊すためには、「型」を知る必要があるのだ。

ザコシショウに型通りのロケや食レポを求めるのはもったいない。やるなら型を壊してもらいたい。型を正しく壊し、ヒドいと面白いを行き来するため、同期芸人たちが手取り足取り教えてあげた……というのは考えすぎだろうか。

ちなみに、関根さんがあまりにザコシショウを褒め続けるため、番組終盤では「甘やかして潰そうとしているのでは?」という疑惑が出ていました。疑われるほど褒め続ける関根さん、スゴい。
(井上マサキ)