米国で最も成功した女性起業家 ABCサプライ創業者の苦難の道

写真拡大

「私たちはアメリカの住宅の屋根工事の現場で働く人々に、資材を卸す企業を運営しています」――先日公開されたフォーブスの「アメリカで最も成功した女性(Americas Richest Self-Made Women)」ランキングで1位に輝いたダイアン・ヘンドリックスは自身のキャリアをそう説明する。

彼女が1982年に屋根職人の夫ケンとともに創業した建築資材卸売会社ABCサプライの年商は60億ドル(約6.470億円)。同社の100%オーナーであるダイアン自身の資産額は49億ドル(約5,284億円)に上る。

ABCサプライは同業他社の店舗を買収することで事業を拡大してきた。創業3年目には33店舗を有するチェーンに成長。しかし、ダイアンはその成長スピードを遅いと感じていたという。2007年に同社は業界最大手になり、ヘンドリックス夫妻は30億ドル(約3,235億円)の富を手にした。

だがその年の12月、悲劇が訪れる。新築した自宅の屋根を確認していたケンが下に落ちて亡くなったのだ。多くの人はダイアンが会社を売却すると予想したが、彼女は手放さなかった。不況を切り抜け、年商を2倍にし、2010年に同社史上最高の買収金額でライバルのBradco Supplyを買い取った。(ABCサプライは日本のレーシングドライバーの佐藤琢磨が所属するインディカーのチーム、A.J.フォイト・レーシングのメインスポンサーとしても有名だ)

7人の子どもの母親でもあるダイアンは現在、ABCサプライの会長を務めている。毎日自分でクルマを運転してオフィスに通い、辣腕を振るう。そんな彼女が語った7つの成功の秘訣とは。

誰もが味方になってくれると思わない。

「私たちの仕事は順調で、銀行も応援してくれていると信じていました。ところが会社が成功し始めた途端、ペースが速すぎると言われたのです。2店買収し、さらに3店買収し、計5店舗になった時点で切られました。他の銀行に行って経営状態を説明しましたが、そこでも門前払いされました。私たちには不払いなどなかったし、プロフェッショナルかつ誠実に会社を経営していたのですが、銀行の想定するビジネスモデルに沿っていなかったのでしょう。

私たちのような低学歴の屋根職人夫婦が優秀な経営者になれるはずはないと思われていたのです。『彼らの成功は一時的もので、すぐに潰れるだろう』と。人々の偏見を打ち破るには、成功して彼らの間違いを証明するしかありません」

ゴールに至る道は一つではない。

「人生にハプニングはつきものです。目標や使命や計画を持って歩いていても、障害物が現れて回り道を余儀なくされることがあります。この道ではゴールにたどり着けそうにないと思えば、別の道を行けばいい。その道もだめならまた他の道を探せばいい。
ゴールを設定し直す必要はない。道筋を変えることを失敗と捉えないこと。人生とはそういうもの。目標を見失わないことが大事です」

行動を起こす前に熟考する。

「アイデアさえあれば起業できると勘違いしている人がいますが、起業とは本来、大きな責任を伴うもの。つまり働き、リスクを負い、落胆することを意味します。起業を考えている人には、今一度自分に問いかけてほしい。十分な覚悟と情熱はあるのか、十分に考え抜いたのかと。なぜなら成功する確率はとても低く、会社を作ることに対して燃えるような情熱と願望を持っていない限り、幸せにはなれないからです。失望するかもしれないし、健康を失うかもしれないのです」

念入りに下調べする。

「事業プランをきっちりと書面化して、あなたが尊敬する人々に見てもらいましょう。銀行の人にも、融資をお願いする前にまず一度読んでもらうこと。あなたが築こうとしているビジネス、提供したいサービス、売りたい商品にニーズはあるのか?