by Jonathan Lidbeck

YouTubeでニュースムービーを公開している「SourceFed」チャンネルが、Googleが「ヒラリー・クリントン」についてのオートコンプリート候補を操作しているのではないかという問題提起を行いました。このムービーは80万回以上再生され、Googleが否定声明を発表する事態となっています。

Did Google Manipulate Search for Hillary? - YouTube

ムービーに登場したのはマット・リーバーマンさん。



Google検索には、途中まで検索フレーズを入力するとその先を推測して自動的に補完するオートコンプリート機能があります。たとえば「justin(ジャスティン)」と入力すると「justin bieber(歌手のジャスティン・ビーバー)」、「justin timberlake(歌手・俳優のジャスティン・ティンバーレイク)」、「justin trudeau(カナダ首相のジャスティン・トルドー)」と有名人の名前が続き、無料ギターレッスンサイトの「justinguitar」までも出てきます。



ここでSourceFedが問題にしたのは、アメリカの国務長官であり、次期大統領選の民主党候補となることが確実な「ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)」についてです。SourceFedの主張によると、「hillary clinton」と「cri」まで入力した時、Googleとその他の検索エンジンとでは出てくるオートコンプリートの候補が違うとのこと。



これがGoogleの場合。「cri」で最初に出てくるのは「crime reform(犯罪改革)」で、これはヒラリー氏が候補指名争いの中で、自らの政策として犯罪司法制度改革を掲げたためだと考えられます。



これがYahoo!やBingだと「crimes(犯罪)」や「criminal charges(刑事告発)」と、ヒラリー氏が行った犯罪や、ヒラリー氏についての刑事告発のことを調べるかのような候補が表示されます。これが、「Googleが検索の入力候補をいじっているのではないか」という根拠の1つ。



もう1つ、Googleトレンドでも調査を実施。「hillary clinton crime reform」を調べてみると……



「Not enough search volume to show graphs.(グラフ表示に十分な検索ボリュームがありません)」と表示されます。つまり、このキーワードで検索をかけた人はそんなにいないということです。



一方、「hillary clinton crime」はグラフのように多数検索されています。これも、Googleが入力候補を操作している証拠だというわけです。



「cri」ではなく「ind」の場合も、BingとYahoo!では「indictment(起訴)」がトップなのですが……



Googleでは「indiana(インディアナ州)」や「india(インド)」が上がってきて、4つまでに「indictment」は入ってきません。



これも、Googleトレンドで調べると、indiaよりもindictmentの方が多いという結果に。なぜindiaが候補に出てくるのか、という疑問が出ます。



ここまではすべて「ヒラリー・クリントン」絡みの結果ばかりだったので、これだけでは単にGoogle検索の結果が偏っているだけにも見えます。そこで、社会学者であり、ヒラリー氏と民主党大統領候補の座を争うバーニー・サンダース氏と……



共和党の候補指名が確実なドナルド・トランプ氏の結果も比較してみます。



サンダース氏の名前と「soc」と入力すると、Yahoo!・Bingともに「socialist」と出てきます。



トランプ氏の名前と「rac」だと「racist」と表示されます。



そして、この結果はGoogle検索でも共通していました。つまり、候補が異なっていたのはヒラリー氏に関する検索だけだったということ。



これを、SourceFedでは、Googleの元CEOであるエリック・シュミット氏がヒラリー氏と近しいことに原因があると指摘しています。



今回のケースのように、ポジティブな方向へ入力候補を調整すると、浮動票を取り込むことが可能なのだそうです。



つまり、Googleには投票を操作する力があり、実際にヒラリー氏に対してポジティブに働くように操作を行っている、というのがSourceFedの主張です。



このムービーは6月14日0時時点で、80万回以上再生されています。その影響を考えたのか、Googleはムービーが公開された翌日に、ワシントン・タイムズに「操作はしていない」という反論を掲載しました。Googleによると、オートコンプリートのアルゴリズムでは「人の名前+攻撃的な内容 or 誹謗中傷」という候補は表示されないので、今回のSourceFedの主張はアルゴリズムを誤解したものだというわけです。

Google denies burying bad Hillary Clinton stories - Washington Times

http://www.washingtontimes.com/news/2016/jun/10/google-denies-burying-bad-hillary-clinton-stories/

NeowinやVoxは実際に検証を行った上で、Googleの主張が正しく、オートコンプリートの候補は操作されていないという見方を示しています。特にVoxは連続爆弾犯・ユナボマーとして知られるセオドア・カジンスキーや元ナスダック会長で“史上最大級の詐欺事件”を起こしたバーナード・L・マドフなど、犯罪者として知られる人物の名前の後に「cri」を入れても「crimes」が出てこないことを確認しています。

No, Google is not modifying search results when you search for Hillary Clinton

http://www.neowin.net/news/no-google-is-not-modifying-search-results-when-you-search-for-hillary-clinton

There's no evidence that Google is manipulating searches to help Hillary Clinton - Vox

http://www.vox.com/2016/6/10/11903028/hillary-clinton-google-debunked