半年のお試し期間満了で軽やかに実家への出戻りを決めた山口蛍さんに学ぶ、「ワタシ」を守るカジュアル転職のススメ。
『蛍来い』

ほぉ ほぉ 蛍 来い
あっちの水は 苦いぞ
こっちの水は 甘いぞ
ほぉ ほぉ 蛍 来い

◆現代転職事情を生きるOLと考えた場合、出戻りは何も悪くなどない!

一文字も変わっていない替え歌による短い前フリから始まりましたが、まさに一文字も変えなくていい今の気持ち。これはもちろん、2015年12月にセレッソ大阪からドイツのハノーファー96に移籍し、このほど日本への復帰の意志を示された山口蛍さんの件です。

一般論で言えば、「うわぁ…意気揚々と出て行ったのに…」「えっ、半年!?」「移籍⇒怪我⇒帰国の順じゃなくて、怪我⇒移籍⇒帰国の順だったら大がかりな治療みたいな感じやね」などと、半笑いのひとつも漏れるところでしょう。「全笑いでしょ?」などのツッコミはいりません。そこは一周して消化済みです。

↓見よ、この前途揚々たる希望と野心に満ちた移籍発表の日を!

って、そうでもないね!

すっごい楽しみとか、すっごいやる気とかって感じは特になさそう!

10年後に後悔しない転職の条件 [ 佐藤文男 ]

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(※「何でも擁護する」ことで知られるフモフモが頑張って2200字ほど擁護します)

僕は数多くの野球関連メジャー移籍を見てきました。野球は成功事例も数多く、少なくとも「日本で一流であれば、生活ができる程度にはやれるはず」というくらいのレベルはあるでしょう。日本で超一流であればメジャーリーグでも一流である。そこについては、多くの事例が証明しているものと確信しています。

しかし、にも関わらずてんでダメというパターンもある。僕はそれについて長年考えてきた結果、「水」という結論に達しました。力量云々ではなく、その前の段階で向いてないパターンがあるのだと。それは枕が変わると眠れないレベルの生理的な現象であり、プレーの力量以外のところなのであると。

現在オリックス・バファローズに所属する中島裕之さん(※現在は人の目を忍ぶように偽名の宏之を使用)をご覧ください。日本時代は3割台の打率と年間150本を超える安打、20本前後の本塁打をマークし、ゴールデングラブ賞にも三度輝いた一流の選手です。それがメジャーに移籍するや一転、メジャー通算2年間で安打ゼロ本という低迷ぶり。

今年メジャーに行ったばかりの前田健太さんですら2安打1本塁打を記録しているというのに。倍率で言うと、中島さんを1億倍してもマエケンの打棒には届かない計算です。いくら何でもそこまでポンコツではないでしょうから、打てない以前の問題があるわけです。そもそも必要ないのに採っちゃったとか、採った瞬間故障してたとか、期待と実態にギャップがあったとか。

誰もがひれ伏す絶対的な力量があれば、どんな困難も覆せるのかもしれませんが、そこまでじゃない人がほとんどでしょう。僕が監督なら、ほとんど同じ力量の2選手がいたとき、基本的には「メシのときに話がよく合う」とかの理由で起用を決めますが、そんな監督の下で出場できなかったとしても、それはもう自分のできる範囲外の問題じゃないじゃないですか。

環境・運・タイミングすべて含めて、「水」が合わなかったとしか言いようがない移籍はある。その逆で、水が合ったことでポンコツが再生する移籍もある。そこはある程度出たとこ任せでしょう。出たとこ任せで「ダメ」の目が出たときに、それを恥じたり悔いたりする必要はないのです。ダメだったな、と思うだけで終わっていい。

↓練習1回目の感想が「最初からこんなにやるんだな…」っていう時点で、何かが合ってなかったかもしれない!



もっとゆっくりと慣らしていきたいよね!

そういうタイプ、いるよね!

乾燥ワカメだって、じっくり時間かけて戻すじゃない!

向こうにとっても蛍さんは何か違ったのかもしれませんが、蛍さんにとっても何かが違ったのではないか。蛍さんにとって「海外」とか「ドイツ」とか「ハノーファー」は絶対的なものではありません。ハノーファーを選ぶ理由やこだわる理由…松井秀喜が絶対にヤンキースであったような理由はなく、オファーがあって・清武さんとか馴染みの顔がいたから、くらいのところでしょう。「生まれたときからハノーファーサポで、好きな選手はアルティン・ララです」なんてことは、きっとない。

そもそも、海外である必要もない。どこかのリーグが特別に好きとか、欧州CLに出たいとか、大金持ちになりたいとか、ではなく「レベルアップしたい」というのが本人が語る根っこの部分の理由。「海外の空気を吸えば強くなれる」というマンガのセリフのような気持ちですらなく、「行ったほうがいいのかな?」くらいのフワッとした構え。

で、「行ったら、違った」のです。

全然思ってたのと違って、特に成長する感じもしないし、怪我もしちゃったし、チームは降格するし、話が違うなーとなっている。「俺は絶対欧州で成功するんだ」という気持ちで行っているのなら、2・3発殴ってでも止めますよ。「オイ田児、お前日本に戻る場所なんかないんだぞ!」「チカラ尽きるまでマレーシアでラケット振ってろ!」「それしか道はないんだぞ!」とか一文字ごとにビンタしながら。

違う違う、そんなんじゃない。言ってみれば「美容院変えた」くらいの話。「銀座の有名店ならいつもより絶対オシャレになると思う」ってホットペッパー見て出掛けたら、趣味が合わない担当が出てきて、本田翼にしろって言ってるのに本田多聞みたいになっちゃって「髪の長さ以外何もかも違うじゃねぇか」ってなってるような話。それに対する最善のアドバイスは「元の環境でやり直す」ことでしょう。

僕はむしろ、こうしたスマートな決断ができることを高く評価したい。ヘンに恥ずかしがったり、意地を張ったりしないで、すぐに戻ってくる。これ以上の決断はありません。2年幽閉・3年牢獄みたいな選手も野球界隈にはたくさんいましたが、ガマンしても幸せになったりはしません。ガマンの末に脱獄に成功する選手はゼロではありませんが、結構な時間を無為にすることは避けられない。こだわることに特に意味はないのです。

むしろこだわってガマンと放浪を繰り返せば、「水」が合ってないのにキャリアはどんどん傷ついていきます。2つ3つチームを渡り歩いて、全部ダメだったりすると「あぁコリャ完全にダメなんだな」とウィキペディアの時点で次回の転職は失敗不可避じゃないですか。半年で戻ったほうが、「評価未確定」をキープできるぶん上策です。

(※以上、擁護終わり)

移籍はもっとカジュアルにやっていいし、カジュアルに諦めていい。「転職」みたいなもので、むしろカジュアルさが同世代の憧れを産むくらいに思っていたほうがいいのです。やりがいのある仕事かもしれないけれど、仕事は仕事。仕事だと思って考えれば、悪い環境で頑張る必要はまったくありません。ハノーファーに付き合ってやりがい搾取される必要なんて、ありません!

↓蛍さんに学ぼう!カジュアルな転職の心構え!
●気軽にチャレンジしてみる
行ってみないとわからないことも多いもの。何でもチャレンジが大事。キラキラした未来は自分から手に入れなくちゃダメ。チャレンジしないで終わるのと、チャレンジして傷つくのと、どっちがいい?告白しないと恋は始まらないのと一緒だよ。

●「違うな」と思ったら頑張りすぎない

二度と戻ってこない「今」を無駄にしちゃダメ。そのためには、「相手を変える」んじゃなく「自分を変える」ことが大事。「違うな」と思ったら、そこで立ち止まらず、新しい一歩を踏み出して。

●試用期間はお互い様
「6ヶ月間は試用期間につき…」という企業からの但し書き。それって、採用を決めた人事部と部門長の無能をカバーするためのセーフティネットだよね。コッチだってそのつもり。「お試し」して「ここにはいたくない、絶対!私が輝くための場所じゃない!」って思ったら、試用期間満了をもってお別れさせていただきます。

●世界を広げるのに時間はいらない
短い時間じゃ何もわからない…って不安になるのは当然。確かに、何年も何十年も頑張ることで見えてくるものはある。けれど、すぐに気づくことだけでも十分な収穫だとは思わない?本だって100回読んでも発見はあるかもしれないけれど、ほとんどの部分は1回目でつかめるでしょ。読み終わった本は閉じてもいいんじゃないかな?

●「愛されて咲く花」になる

厳しい環境に耐えて咲く花がすべてかな?すべてじゃないよね。高山植物みたいな暮らしができる人は、ちょっと変わったところがあるトクベツな人。ほとんどの花は愛されてキレイに咲くんです。今、愛されてる?愛されてない?じゃあ、答えはもう出てるんじゃない?

●選ぶのはいつだってワタシ
「せっかく採用してもらったし、契約がまだあるから…」と情を覚えること、あるよね。業績低迷で規模縮小しても頑張っちゃったりとか。それって、ホントウにアナタがしたかったこと?「2部なら行ってなかった」って思うんなら、頑張る理由、ないよね。会社がワタシを選ぶんじゃなく、ワタシが会社を選ぶの。

●根性論はノーサンキュー
「根性が足りない」とか言う人、多いよね。でも騙されちゃダメ。根性で成功できるなら、苦労はないよね。本当に輝ける場所に根性とか我慢とかはいらないよ。夢中になって時を忘れるの。

●ステップはジャンプのための助走
ステップアップしたくて、無理に高い段差に足を掛けてたりしない?崖をよじのぼるより、階段をのぼるほうが絶対にラクだし、早いよね。私なりのステップを一段ずつ上がっていけばいいんじゃないかな。ホップ・ステップ・ジャンプの気持ち。いいステップが踏めたら、次の一歩はきっと高く跳べるよ。

●戻ることは後退じゃなくて、発見
あんなに颯爽と飛び出したのに、元の場所に戻るのは恥ずかしい?違うよ、戻ることは後退でも失敗でもないの。発見。別れてから相手の素晴らしさに気付く恋もあるでしょ。前よりももっと相手を愛せる自分になれたなら、それも「成長」だよね。

●だから、サヨナラは円満に
恋は使い捨てじゃないように、仕事も使い捨てじゃないの。不倫関係は清算してもトモダチではいられる…そんな関係がいいよね。いつかどこかで、元のサヤにおさまるかもしれないんだから、前のサヤは大事にしなきゃ。辛いときに「戻っておいで」って言ってくれたなら、もう一度抱かれてみるのもいいんじゃない?

すべてを捨てて死ぬ覚悟で行く人は考え直して!

そんな昭和の相撲取りの入門みたいな世界観は古い!

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仕事に疲れ、夢に破れ、傷ついたときは「実家」に帰るのが当たり前。もちろん親もイイ顔はしないかもしれないし、「お金がない」くらいの愚痴は言うでしょう。でも、最後は「帰ってこい」って言ってくれる。それが親、それが実家。つらい環境で人生をすり減らす前に、実家に帰ってもう一回リスタート。カジュアル転職で、人生を軽やかに越えていきましょう。山口蛍さんのように!

↓素敵な実家があるからワタシは頑張れる!ナイスチャレンジ、ナイスリターンだよ!

<【C大阪】今夏に山口蛍を再獲得…移籍わずか半年で復帰へ>

山口の要望で面談したという玉田稔社長は「もう少し向こう(欧州)で頑張れないかと思ったが、本人が日本に戻りたいと言っている。日本ならセレッソでやればいい。貴重な戦力となる」と明かした。


あったかいね、実家!

翼を休めて、次羽ばたく日に備えよう!

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「行ってなかった自分」より「行った自分」のほうが、きっと愛せる!