健康のため、美容のため、仕事のため。サプリメントは大切なパートナー。毎月の出費もばかになりません。はたしてその費用対効果は? 気になりますね。

各メーカーから効果を示すデータや著名人の声などが紹介されていますが、客観的な数値はあるのでしょうか? 残念ながら、薬品ではなく食品であるため、特に厚生労働省がデータを調査することもありませんし、日本肥満学会など医学界が効果を確認したサプリもありません。

逆に近年、「ダイエット用サプリメントに効果なし」とする国際肥満学会でショッキングな発表がありました。2010年のことです。ドイツのゲッティンゲン大学トーマス・エルロット教授は、人気のダイエットサプリメント9製品を調査した結果、「効果なし」と発表しました。アメリカのカリフォルニア大学のジョディス・スターン教授の結論は、「減るのは財布の中身だけ」。

サプリメントに頼る患者さんも数多く診てきた元慶應大学病院の医師、近藤誠先生によれば、「効果が認められたサプリメントはありません。ダイエット用に限らずどんなサプリメントも胃と小腸でバラバラに分解され、アミノ酸や糖になるだけですから」とのこと。効果が出ないメカニズムを次のように説明しました。

値段が高いほど効果が高い“気”がする。

コラーゲンはアミノ酸に分解されて吸収される

「食べ物は胃で溶かされ、小腸で分解が進み、内壁から吸収されます。たとえばコラーゲンのサプリメントを飲んだとしましょう。コラーゲンはコラーゲンとして吸収されるのではなく、グリシンやアラニンといったアミノ酸や、複数のアミノ酸がつながったペプチドに分解された状態で吸収されます。ごく微小な分子状態でないと体に吸収できませんから。グリシンやアラニンはお肉や魚、大豆などに含まれる普通のアミノ酸です。つまりコラーゲンサプリは、お肉や魚や大豆などタンパク質を食べたのと同じことになります」

サプリに限らず、たとえばコラーゲンたっぷりの手羽や牛スジを食べたときも、小腸から吸収されるのはアミノ酸やペプチド。バラバラになった分子です。それが体内で再びコラーゲンに合成される率、合成されたとして、それが顔の皮膚細胞まで運ばれる率……は、とても低くなってしまいます。コラーゲンを必要とするのは顔や肌だけでなく、体中の細胞ですから。コエンザイムQ10などの酵素も同様に、「アミノ酸などの分子レベルに分解されて吸収されます」(近藤先生)。

ドラッグストアには“がん予防”のサプリメントも並んでいます。主に活性酸素を抑えるという抗酸化成分で、ビタミンCやビタミンEをはじめ、ビタミンA、ベータカロチン、ミネラルやポリフェノール類、リコピンなどなど。これらについては、「がんだけでなく他の病気も含めてですが、予防効果があるというエビデンス(データに基づく証拠)はありません」(近藤先生)。

コスパ検証の前に、効果そのものの検証が求められるサプリメント。逆に、医療の現場ではプラセボ(偽薬)効果は認められています。薬効成分はなくても、「効く気がすると効く」という不思議な現象です。とにかく、財布をダイエットしないように気をつけたいものです。

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