メディアを買った富豪たちと、買われたメディアのマトリクス

写真拡大

金をもった人間がメディアを買収しその影響力を行使すること自体は、決して珍しいものでもない。Gawker Media社を破産にまで追い込んだ法廷闘争を巡るピーター・ティールの立ち回りは、「買わずして勝つ」姿勢そのものだといえる。

「メディアを買った富豪たちと、買われたメディアのマトリクス」の写真・リンク付きの記事はこちら

かつて、「インクを樽ごと買う連中と喧嘩はするな」ということわざがあった。これはつまり、マスコミ(=プレス)のことで、ジャーナリズムが文字通りの印刷機を使っていたころの話だ(そんな時代があったのだ)。

しかし、いまやインクを必要とする人間はいない。いまでは(ちょうどいま、あなたがこれを読んでいるように)通信回線容量が重要になる。

樽いっぱいのインクを使っていた時代もいまも、変わらぬ真実がひとつある。裕福な人間は、自らのプレス──つまり、メディア──を買ってニュースを広め、影響力を高めることができる、ということだ。

多くの富豪たちが報道機関の経営に興味をもつのだが、このたびの(ピーター・)ティールによる「破壊」は、そこへ新たな一石を投じることとなった。ヴェンチャーキャピタリストによる、報道機関を谷底へ突き落すための、いやがらせ目的の訴訟──なんてイノヴェイティヴなんだ!

買う(あるいは出資する)/マトリクス右上から

ルパート・マードック/『Wall Street Journal』(2007年買収)マイケル・ブルームバーグ/『Businessweek』(2009年買収)ジェフ・ベゾス/『Business Insider』(2013年に500万ドルを出資、14年1,200万ドルを追加出資)、『Washington Post』(2013年買収)コンデナスト社/『New Yorker』(1985年買収)、『WIRED』(1998年買収)トリビューン・パブリッシング/『Los Angeles Times』(2000年買収)ジャレド・カシュナー/『New York Observer』(2006年買収)クリス・ヒューズ/『 New Republic』(2012年買収、16年に売却)シェルドン・アデルソン/『Las Vegas Review-Journal』(2015年買収)

買わない(ただし賠償金を求める)/マトリクス左上から

フランク・ヴァンダースルート/『Mother Jones』(2012年、自身に対する政治献金疑惑を報じる同誌記事について訴訟を起こす。15年マザージョーンズ側の勝訴で結審)ピーター・ティール/『Gawker』(詳細はこちらのアーカイヴ記事に詳しい)