EU残留か離脱かを問う英国の国民投票が23日に迫った。最新の世論調査では双方の支持率に差はなく、離脱となった場合は世界経済にも大きな影響を与えそうだ。写真は英・ロンドン。

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2016年6月11日、英国で欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票が23日に行われる。最新の世論調査によると、双方の支持率は拮抗(きっこう)しており、投票結果がどうなるかは予断を許さない。離脱となった場合は、英国経済の縮小を招くだけでなく、世界経済にも大きく影響するとの懸念が強まっている。

今回の国民投票は、13年1月、キャメロン英首相が15年の総選挙のマニフェストとして、英国とEUとの関係について再交渉し、EUを離脱するかどうかの選択肢を17年末までに国民に与えると発表したのが直接の発端。キャメロン首相は今年2月の欧州首脳会議で、英国政府が求めていたEUの改革案について合意したことを受け、国民投票に踏み切った。

国民投票は「英国はEUのメンバーにとどまるべきか、EUから離脱すべきか」の二者択一形式。首相は「改革後のEUにとどまることで英国はより安全で、より強靭(きょうじん)で、より豊かになり、離脱すれば経済や安全保障にとって脅威になる」と強調して英国がEU内で"特別な地位"を獲得した成果を列挙し、英国民に残留への支持を呼び掛けた。

当初は残留派が優勢とみられていたが、ロイター通信によると、調査会社YOUGOVが1〜3日に実施した世論調査では、離脱支持が45%、残留支持は41%。5月19〜23日に行われた調査会社TNSの調査では離脱43%、残留41 %だった。超党派情報サイト「英国は何を考えているか」がまとめた六つの最新世論調査(5月27日〜6月5日実施)の平均値は、離脱51%、残留49%となった。

残留、離脱がほぼ等しい背景の一つが移民問題。5月26日の統計局の発表で、昨年の英国への移民純増数が33万3000人と、記録開始以降2番目の高水準であることが明らかになった。これは、移民が福祉や雇用を圧迫すると訴え、移動の自由を原則とするEUから脱退して移民を制限すべきだとする離脱派を勢いづかせた。

離脱派を主導するジョンソン前ロンドン市長とゴーブ司法相はこの機を捉え、キャメロン首相への公開書簡で「移民を10万人以下に抑えるという選挙公約は守られず、国民の政治への信頼を失わせた」と痛烈に批判した。

投票結果が離脱となれば、離脱後の英国経済をめぐる不透明感が一層高まるほか、金融市場の激しい動揺も相まって、英国景気に深刻な影響が及ぶことが予想される。経済活力の低下、経常赤字の拡大、金融部門の弱体化などに対する懸念が強まり、英国の国債や銀行の格付けは引き下げられ、資金調達コストが上昇する恐れもある。

さらに、ロンドンの地価暴落が金融部門の経営難に拍車を掛けることも危ぶまれる。金融市場の動揺が英国の重要産業である金融部門を直撃すれば、その影響は英国のみならず全世界に広がりかねない。

国民投票にはオバマ米大統領も介入。今年4月に訪英した際、離脱の場合、米国との貿易協定締結の交渉での優先順位で「列の後ろに並ぶことになる」と、英国にとって屈辱的な表現をあえて使って警告した。ドイツやフランスも残留を望んでいる。国際世論は残留支持だが、英国民の判断は間もなく示される。英ブックメーカー(賭け屋)の予想オッズではEU離脱が支持される確率は29%という。(編集/日向)