前回、思いがけない伏兵が現れた「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系、毎週日曜22:30〜)第8話。


不貞を働いた二人、入念なリハーサル


それまで何の予兆もなかったのに、第7話ラストで突然ふたりしてホテルに入っていった茜ちゃん(安藤サクラ)と上司・早川(手塚とおる)。今回冒頭で、それでもなぜかホテルから坂間(岡田将生)に電話を入れていた早川は、どうにかしようと思っていたのかどうなのか。というか実際に関係を持ったのか否かもはっきりとは描かれないまま、翌日坂間の前で披露することになる「なにごともなかった演技」のリハーサルをぎこちなく繰り広げる二人。
いっぽうの坂間は深夜1時に家族会議を緊急招集。兄貴(高橋洋)と一緒に酒蔵を継ぐ宣言をしたところで兄夫婦が「北海道で米農家をやりたい」と言い出し、母(中田嘉子)が激怒。兄、順調とは言いがたいけれどそれなりに頑張ってたと思ったのになぜ急にそんな脱サラドリームみたいなことを……。

と、冒頭から密度の高い展開が続いた第8話。後半、ランチ終わりの鳥の民で一人ずつ挨拶していったところなど、本当にこの物語が終わりに向かっているのだなと寂しくなる。そしてここで「結婚します……茜ちゃんと」と坂間に言われたときの茜ちゃんの表情の変化は繰り返しみたくなるほど見事。やはりこのドラマを支えている大きな柱のひとつは、ヒロイン安藤サクラの演技力だと改めて確信する瞬間だった。

なんだかんだ愛される山路


第8話では坂間、まりぶ(柳楽優弥)、山路(松坂桃李)の3人がそれぞれお互いに対して信頼感を抱いているのが伺える描写がまたよかった。坂間が妹・ゆとり(島崎遥香)と素直に話し合うシーン。ゆとりの語る「彼氏」(まりぶ)について、「そいつはそいつで、変わろうとしたんじゃない?」と話す坂間。
そのまりぶはまりぶで、家まで訪ねてきた山路に「同じ職場のやつらにあいつ(坂間)の働いてる姿を見せたかった、あんなにゆとりのねえやつもゆとりなんだぜ、って」と語る。

まりぶはせっかくカタギになって務めた先でかつてぼったくった相手と遭遇し執拗に責められて手を出し、夜の高円寺に戻ってくることに(ちなみに、前回のレビューでこのドラマに劇団出身者がたくさん出ていることを書いたが、このまりぶを責める同僚を演じたのは三浦大輔率いる劇団ポツドールの米村亮太朗。いかつい役がよく似合っている)。やけくそのようにぼったくりをやった結果、おとり捜査につかまり逮捕されてしまう。坂間が結婚と退社を決め、新たな人生に向かって進んでいるのとは対照的だ。

そんななか、山路が抱えている問題といえば、いまだ童貞なこと、にもかかわらず児童たちに性教育を行わねばならず周りに心配されていること、というほのぼの具合。かつて自分が童貞であることを学校中に広めた相手に恋愛相談を受け、説教したりもしている。今回の山路はひとりだけなんだかシリアスさに欠ける存在……。ただ、山路はまりぶとゆとりの関係を知るや鳥の民に行き、さらにまりぶの自宅に行く、実は誰よりも友達思いなのかもしれない。茜ちゃんも、プロポーズを受けて真っ先に報告しに行く相手は山路だ。こういうヤツがなんだかんだ、みんなにいちばん愛されるのかもしれない。
(釣木文恵)