6月11日に放送された『IPPONグランプリ』(フジテレビ系列)。2009年12月の開幕戦から数えて、15回目を迎えた今回。初めてIPPONスカウトから2人が勝ち上がり、歴代優勝者5人と初出場4人がぶつかる形になった。


Aブロック:伊達の流派と川島のエエ声


Aブロックはバカリズム、伊達みきお(サンドウィッチマン)、堀内健(ネプチューン)、博多大吉(博多華丸・大吉)、川島明(麒麟)の5人。

常連組が安定の戦いを見せるなか、チェアマンの松本人志から「新しいジャンルや」「あかん、ちょっと俺おもろいわ」と高評価を得ていたのが初登場の伊達だった。

お題:おバカヒーロー「オペペペン」○○すると変身。その変身方法とは?
伊達:「おしりペンペンされると」「柿の種1つとピーナッツ2つを一緒に食べると」「少しだけ寝る」

字に起こすとなんてことない回答なのだけど、伊達のいかつい見た目、ほどほどに達筆なフリップ、それと真逆の脱力系ほのぼの回答という組合せで1本を連発。松本は「違う流派やねん」と感嘆する。

同じ初登場の川島明(麒麟)も1位争いに食い込んだ。回答を見てみると、とにかく文字数が多い。例えば「オペペペン」のお題での川島の回答はこうだ。

・「オペペンペンのちょっといいとこみてみたい!それ変身!変身!」というコール
・オペペペンポイントが100ポイントたまったら変身。でも20ポイントたまったくらいですぐお皿と交換するのでなかなか変身できない
・場末のスナックでママに「あんた今日うち泊まる?でもいくじなしやもんね」と言われ「ど、どうなっても俺知りませんよ!」と言って変身する

フリップいっぱいに書かれた文章は、本来なら読み上げるだけで大変だし、間延びしてしまう危険もある(第13回で狩野英孝がフリップ2枚にわたり回答を書いて大変なことになったのを思いだす)。しかし川島の武器はその「エエ声」。長い回答でも、よどみなく畳み掛けてくるのは流石。ただ「写真で一言」での回答も長く、松本チェアマンに「二言言うとるやん」とツッコまれていたのはご愛嬌。

4問目を終え、最後はバカリズムと博多大吉のサドンデスに。お題は「完全に名前のせいで売れていない女性アイドルのグループ名とは」。イラスト回答ができないお題に苦しんだか、バカリズムがまたもサドンデスで破れ、博多大吉が決勝へ。

Bブロック:大御所を注意する若林、ドラゴンを退治するジュニア


Bブロックは若林正恭(オードリー)、塙宣之(ナイツ)、秋山竜次(ロバート)、千原ジュニア(千原兄弟)、今野浩喜の5人。「スカウトから優勝したいと思います」と今野が決意表明し、「林家三平より面白い自信がある」と塙が毒を吐く。

第1問「大御所たちを注意してください」では、若林が最初から飛ばす飛ばす。

・何回もルールを説明させるなよ!
・今の話2分でできるだろ!
・叙々苑弁当を残すなよ
・隠居(ハウス)!

他の回答者が「もっとわかりづらいカツラつけろよ!(塙)」と大御所を直接いじるのに対し、若林の回答は番組収録に絡むものが中心。ここ数年で『しくじり先生』などMCを務める番組が急増した若林。大御所に困った経験が回答に生きているようだった。

第4問「初めてドラゴンを退治しに行くのですが、アドバイスをお願いします」では、千原ジュニアが3連続で回答し見せ場を作る。それぞれ違う切り口なのが面白い。

・いや、昨日林んとこのおかんが倒したで
・ドラギョンの事はわからないのでギョメンなさい!
・倒した後の囲み取材がめんどくさいねん

それぞれ過去・現在・未来と時制が異なるのだ。お題を素直に受け取ると退治前の心得を答えてしまうのだけど、時間をズラすことで新しい切り口が生まれている。

今回はAブロックもBブロックも大混戦。初出場の今野も7回答中6つで1本を取るなど大健闘だった。1問目から絶好調だった若林が決勝へ進む。


決勝戦:31歳の「若ちゃん」


1年前に初優勝を果たした大吉と、6年ぶりの決勝進出となる若林。草食男子対決となった決勝戦。キャラクターを全面に出さないプレイスタイル同士で競り合いが続く。

第1問:鈴木福くんに耳打ちされたADが引いています。何を言われた?
大吉「あなたは局員さん?それとも外注の人?」

第4問:あれ?俺の先祖魚だな。なんで気づいた?
若林「いくらに異常に興奮する」

3ポイント先取のところ2対2までもつれこみ、最後を制したのは若林! 2009年開幕戦からの出場から、ようやく優勝となった。

さて、『IPPONグランプリ』の放送終了から2時間後。深夜1時に始まっった『オードリーのオールナイトニッポン』はビタースイートサンバではなく、矢沢永吉「止まらないHa〜Ha」で始まった。

春日がフィンスイミングの世界大会でチェコにいるため、この日は若林の独り語り。話題は自然とIPPONグランプリ収録の裏話へ。収録の2日前にゴールドジムで筋トレをしたため、収録当日は筋肉痛でパンパンの腕のまま半泣きでボタンを連打していたそう。

決勝戦の前に意気込みを聞かれたとき、若林は6年前に決勝進出した自分を振り返って「6年前の若ちゃんすごいな」とコメントした。これを聞いた松本人志は裏で「自分のこと若ちゃんっていうんや」とツッコんだ。放送を見てそのツッコミを知った若林は「いや違うんですよ!」と否定する。

「(6年前の)31歳の若林って、俺からみたら『若ちゃん』に見えるですよ」
「なんとも思ってなかった、31歳の時。別にすごいとも思ってないし、すごくないとも思ってないし。勘違いしてんだよね、ちょっとね」
「向こう見ずだったな若ちゃん!って思って」

「若ちゃん」は過去の若林のことであり、今の若林とは切り離されている。6年の歳月を経て、トンガッていた自分を客観的に振り返られるようになったからこそ出た「若ちゃん」だったのだ。

ちなみに、『IPPONグランプリ』が収録が行われたのと同じ時間帯、隣のスタジオには別の仕事で春日がいたそうだ。

「隣のスタジオで『クイズ!やさしいね』を収録している春日にすぐ伝えに行きたいです、っていう、優勝後のコメントがカットされてましたけど(笑)」

今はチェコにいる春日もきっと喜ぶに違いない。

(井上マサキ)