焼酎と血糖値との関係とは

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「焼酎は血糖値の上昇を抑える効果がある」という研究論文が、2016年4月4日、鹿児島大学農学部などの共同研究チームから発表された。

焼酎をはじめとした蒸留酒は糖質を含まないため、醸造酒に比べて血糖値が上がりにくいことは従来から言われていた。だが、今回の研究のポイントは、「水」と比べても焼酎の方が血糖値の上昇を抑制できると示された点にある。

糖尿病患者の厳しい食事制限「何とかしたい」

研究では、平均28.8歳の健康な男女3人ずつ(計6人)に対し、夕食時に、芋焼酎、清酒(日本酒)、ビール、水を1種類ずつ、約1週間おきに飲んでもらい、食前と食後1、2、12時間の血糖値を計測した。その結果、芋焼酎を飲んだ後の血糖値の上がり方は、他3つの飲料に比べて明らかに緩やかだった。

焼酎をはじめとした蒸留酒は製法上、糖質が含まれない。日本酒やビールのように糖質が含まれる醸造酒と比べたら血糖値が上がらない点は、これまでも論じられてきた。しかし、研究チームの一員で鹿児島大農学部附属焼酎・発酵学教育研究センターの高峯和則教授は6月6日、J-CASTヘルスケアの取材に対し「水との比較」「食事中に飲んだ場合の比較」を今回の研究のポイントに挙げた。

「アルコールでなく糖質も含まない『水』と比べても、焼酎は血糖値の上昇を抑えられました。また、酒から摂取する糖質も考慮する必要があるが、食事から摂取する糖質の方が多く、食中酒としての焼酎の効果が明らかになったと言えます」

実験によって焼酎の血糖値抑制効果を示した例は、「食中酒としての効果については、把握している限りでは初めて」(高峯教授)という。

研究の狙いは別のところにもある。研究チームの責任者、鹿児島大医歯学総合研究科の乾明夫教授は6月7日の電話取材に、「糖尿病やその予備軍になったら食事制限ばかりさせられる現状を何とかしたい」と話した。

「食事療法は、無理なく長続きできるものであるべきです。あれもダメ、これもダメでは続けるのが難しい。たとえば米国では、糖尿病患者に『いかに食べられるか』を指導します。日本では糖尿病になると、アルコールを禁じられることが多いですが、飲んでよいアルコールもあると示していきたい。もちろん適量は守らなければなりませんし、我々としても今後、さらに詳細な研究を進めていかなければなりません」

鹿児島県民の糖尿病はワースト8位だが・・・

鹿児島県民は芋焼酎の消費量が日本一多い。焼酎に血糖値上昇抑制効果があるのなら、鹿児島は糖尿病患者が少ないのだろうか。実は、そうでもない。厚生労働省発表の2013年人口動態統計によると、都道府県別の糖尿病死亡率で、鹿児島県はワースト8位だ。

前出の高峯教授は、数字だけで焼酎の効果は否定できないと語る。

「鹿児島県民にとって『甘い』は『うまい』。甘い物を好むのが食文化として根付いており、必然的に糖質の摂取量は多くなります。代表は醤油。鹿児島の醤油は非常に甘く作られていて、初めて口にする他県の人は大概驚く。他には、例えばさつま揚げも、魚のすり身に甘味の強い地酒と砂糖をたっぷり入れて作ります」

ネット上でも「砂糖をふんだんに使った甘々の煮物や甘々の醤油を付けた刺身を肴に酒を飲み」「鹿児島とかは調味料にことごとく糖質(黒糖・白桃・カルメラ糖等)が入るので、そら糖尿病率も高かろうと思います。だって緑茶にまで砂糖入れてたもの...。灰汁巻きも砂糖でまぶすこと前提だし、醤油にもカルメラいれてるし...」といった声が散見される。

そんな「甘党」の県民性にもかかわらず、糖尿病死亡率は最下位ではない。もしかしたら芋焼酎が一役買っているのかもしれない。

焼酎が血糖値上昇を抑えるメカニズムについては「まだ解明されていない」(高峯教授)という。加えて、他の蒸留酒との効果の差についても「比較するのは必要になってくる」と、今後も研究を進めていきたい考えだ。