結婚とはタイミングとはよく言ったもの「とと姉ちゃん」58話

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続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第10週「常子、プロポーズされる」第59話 6月10日(金)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓


ただただ哀しい・・・。
いつもの武蔵(坂口健太郎)の部屋で(ただ、荷物は片付いてしまっている)、いつもの座り位置で、
向かい合った武蔵と常子(高畑充希)。
話を切り出せずどーでもいい話をしてしまう常子。それが武蔵と似ていると言ったあとに、
「いい夫婦になれるかもしれないですね」と直球。
武蔵はおお! と喜んだと思うのだが、
すぐさま「今は結婚できません」とは常子の不器用さや率直さの表れであろうが、なんて残酷な。
「今は家族と離れるわけには」と「今は」が続く。「今は」なだけで決して武蔵と結婚したくないわけではないことをこめる誠実さというか、常子自身、この縁談を惜しんでいるのだろう。
「これからも支えていかなければなりませんし 私自身、まだまだ支えたいと思ったんです」
苦渋の決断である。
哀しいのは、常子のこの決意の背中を強く押したきっかけがおそらく、美子(杉咲花)が手編みのマフラーをくれたことに起因すると想像できることだ。

ぎくしゃくしていた姉妹関係だったが、清子(大地真央)から、美子が学費の返済に当てたいと、お裁縫のお駄賃を密かに貯めていたことを知らされる。
「食いしん坊の美子」が「おやつを買ってない」のは、清子にもらっているんだろうと予想するが、それはさておき、「(鞠子も美子も)一人前のような顔をして生き生きとやりたいことをやれるのは常子がいるから」「ふたりはまだまだ子供なんだよ」と清子に言われ、常子の“親”としての責任感は高まってしまう。
その後のマフラーだ。
このかわいい“子”のためにまだまだ頑張らなくてはと思ってしまったのだろう。
朝、鏡を覗き込んで歯を磨きながら「鞠子も美子も、私が思っていたよりずっとしっかりしていた」と思っていた時は、もしかしたら、私が嫁に行ってもいいんじゃないかという気持ちもよぎっていたかもしれない。
結婚とはタイミングとはよく言ったものと思わされた。ほんとうに間が悪い。

59回のラストは、
武蔵「送らせてください」
常子「はい」
少ない言葉の中にやりきれなさが滲んだ。
じっと座っているふたりがとってもとっても哀しかった。
(木俣冬)