左利きだらけだった。トゥーロン国際も、ユーロ前のテストマッチも、コパ・アメリカも、キリンカップも。どこの国の代表も、クラブも、左サイドバックにはレフティーが起用されていた。

 キリンカップの日本代表では、お馴染みの長友佑都が左サイドバックで起用された。ブルガリア戦で価値あるアシストを記録し、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも好機を作り出した。彼のプレーに不満があるわけではない。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ戦の後半途中から出場した槙野智章も、4バックの左サイドをそつなくこなしていた。彼には馴染みの薄いポジションだが、攻守両面において違和感を抱かせるものではなかった。

 彼らのプレーはそつがない。申し分がなかった。

 ただ、「レフティーの左サイドバックがいたら?」という仮定は拭えない。

 ブラジルW杯後に日本代表を率いたハビエル・アギーレは、就任第1戦でふたりの無名選手を国際Aマッチにデビューさせた。ひとりは皆川佑介で、もう一人は坂井達弥だ。サガン鳥栖でプレーする坂井は183センチのセンターバックで、しかも左利きだった。

 来日したばかりのアギーレも、坂井の経歴は分かっていたはずである。それでも彼を起用したのは、左利きのセンターバックが世界的にも希少だからだっただろう。後方からのビルドアップを試みるにあたって、左利きのセンターバックがいるメリットは間違いなく大きい。

 10月には左利きのサイドバックも招集した。太田宏介だ。アルベルト・ザッケローニのもとでチャンスを与えられなかったFC東京所属のレフティーを、アギーレは就任直後にテストした。15年1月のアジアカップにも連れていった。

 右利きに比べれば、左利きの選手は圧倒的に少ない。だとすれば、左利きの選手には積極的にチャンスを与え、育てていくべきではないだろうか。一定水準のクオリティは大前提だが、代表入りを射程にする選手は国際舞台で経験を積ませたい。

 その意味で、藤春廣輝がオーバーエイジの候補に上がっているのは興味深い。U−23日本代表の手倉森誠監督は、ガンバ大阪でプレーするこの27歳をリストアップしていると言われる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のもとで日本代表に招集されているものの、左サイドバックの序列は3番手以降だ。リオ五輪を転機に藤春が成長してくれば、日本代表にとっても利益となる。

 OAの招集にはクラブの理解が必要で、チーム全体のポジションバランスもある。それでも、彼を連れていく意味はあると思うのだ。