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【元ネタ比較】『火花』前編
原作本と映像作品を見比べて紹介する【元ネタ比較】。今回は、話題のネットドラマ『火花』を取り上げてみました。

●芸人魂を感じさせる又吉の『火花』に号泣

小説を読んで嗚咽するほど号泣したのは久々だった。そのぐらい又吉直樹原作の『火花』にはぐっと胸をつかまれた。もともと、筆者がお笑い好きだということもある。ピースの又吉にしても、まだTVでは見かけないものの、渋谷のヨシモト∞ホールでチュートリアルのライブのサポートとして、ときにはちびまる子ちゃんカットをしながら頑張っていた頃から見ていた。

あの頃には夢にも又吉が芥川賞作家になろうとは思わなかった。太宰治を敬愛していることが有名なほど本好きの又吉だが、彼の書く文章は美しく簡潔で無駄がない。いつも長々と文章をこねくり回してしまう筆者としては赤面するほどで、筆者が原稿用紙半分は使ってしまうであろうところをたった1文で言い表せていたりする。ただ、状況を描写するこだわりの観点が個人的にはツボに入って「わかる、わかる!」と心地いいが、どうでもいい人にとってはどうでもいい細かいことが多いので、ストーリーテリングを楽しみたい人にとっては退屈と感じるかもしれない。

『火花』のストーリーは売れない若手の芸人・徳永と、彼が尊敬する先輩芸人・神谷がつかず離れず、お笑い界を歩んでいく軌跡を追ったもの。デビュー作にして、まさに自分自身もしている芸人を主人公としているところにちょっと驚いた。いや、確かに身近な題材は扱いやすく、それをとっかかりに創作する人は多い。ただ、あまりに自分に近いと照れもあるだろうし、気負いもあって、つい格好をつけてしまったり、核心には触れずにはぐらかしてしまったりするものだ。

でも、この『火花』はタイトルも直球なように、芸人が自分の信念と戦いながらもがき苦しむ姿を作者自身が丸裸になって書いているように思える。それほど魂を感じされる作品なのだ。ちなみに主人公は漫才師で、ピースといえばコント師のイメージだが、又吉がピースの前に組んでいたのは線香花火という漫才コンビ。線香花火→火花を連想させるのもまた感慨深い。(中編「原作の良さを損なわず、厚みを持たせることに成功」に続く…)

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『火花』はNetflixで配信中。

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