先日のことですが、ボルボの新型SUV「XC90」に乗る機会がありました。内外装やパワートレーンの刷新に加えて、安全装備の向上も注目される1台であり、とりわけ「パイロットアシスト」なる新機能には大いに驚きました。

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これは、低速域における自動運転を可能とした技術で、50km/h以下に限りアクセル、ブレーキそしてステアリング操作をすべて機械任せにできるという優れ物。渋滞の中でも決められた車間をピタリと維持したままスルスルと進む技術は人間が行なうよりも格段に的確でスムーズでした。

しかし、前走車との間隔を一定に維持することについては人間を上回っているのですが、例えば横からの合流があると途端にシステムはキャンセルされてしまうし、逆に前走車がいなくなった際にも人間なら「隣のクルマが合流してくるかも」とか先を予想して、あえて車間を広く取った上でノロノロ運転するような場面で機械は急な加速をはじめるなど、イレギュラーに対する適応には若干のぎこちなさが感じられたのも事実です。たしかに自動運転技術としては驚きですが、より実用的になるにはもう少し『人間らしさ』が備わればと思った次第であります。

そんななか、ドイツの自動車メーカー「アウディ」が自動運転に関する新たな実証実験を行なったようです。

今回、自動運転技術での進歩を披露したのが社内で「ジャック」のコードネームで呼ばれている車両。大型サルーン「A7」をベースにzFASと略称する最新鋭プロセッサーが内蔵されており、各センサーが得た情報をリアルタイムで分析して状況を正確に把握した上で、先の状況を予想し、次の動作を的確に導きだすとのこと。

具体的には、高速道路での合流では交通を阻害しないように加速か減速かを素早く判断するほか、トラックを追い越すときには横方向の車間距離を少し余分に開けたり、車線変更時にはウインカーを操作した後、少し幅寄せしてから実行するようになるなど、人が周囲のドライバーに意図を伝えるためのアクションを可能としています。また、ナビゲーションと連動して自動運転区間を長く取れるルート検索も新たに追加されたとのこと。

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また、リリースによると、ネットワークシステムの拡充は自動運転技術に大きな相乗効果をもたらすことが示唆されています。「Car−to−X コミュニケーション」と称する通信では、道路標識をはじめとした情報はデジタル化されてクルマへ送られるほか、同じルートを走行中のクルマとの相互通信により危険な場所や事故をリアルタイムで察知できるようになるそうです。

冒頭で「自動運転にもう少し人間らしさがあれば……」と記しましたが、より人間の感覚に沿った自動運転の実現は近いのかもしれません。

あとは、「このトラックは追い越されると異様に車間距離を詰めてくる」とか、「このタクシーは交差点のすぐ近くでお客を降ろす」とか、車両ナンバーからそのクルマのドライバーの傾向もクルマ間で通信して自動運転に反映させてくれると、さらに頼もしいと思ってしまうのはワタクシだけではないはず。

(今 総一郎)

アウディ 自動運転テストカー「ジャック」の映像を公開【動画】(http://clicccar.com/2016/06/11/376404/)