米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ全長370キロメートルの高速鉄道を建設するため、中国の企業は米国企業と協力して計画を進めてきたが、中国メディアの環球時報(電子版)は、米国側のエクスプレスウエスト(XpressWest)社がこのほど、「中国側との提携を打ち切る」と発表したことを伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ全長370キロメートルの高速鉄道を建設するため、中国の企業は米国企業と協力して計画を進めてきたが、中国メディアの環球時報(電子版)は、米国側のエクスプレスウエスト(XpressWest)社がこのほど、「中国側との提携を打ち切る」と発表したことを伝えた。

 米国国内に高速鉄道を建設することを目的に、中国企業の中鉄国際集団がエクスプレスウエストと提携した際、中国国内では「中国高速鉄道が米国に進出するのも時間の問題」などと意気揚々と報じていたが、計画は動き出す前に頓挫してしまった形だ。

 環球時報は、英メディアの報道を引用し、エクスプレスウエストが中鉄国際集団との提携を打ち切った理由について「中鉄国際集団の行動が遅いうえに、必要な承認を得ることに苦労しているため」と伝えた。エクスプレスウエストは今後も別の提携先ととも高速鉄道計画を推進する予定だという。

 計画によれば、米ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ全長370キロメートルの高速鉄道は2016年9月に建設着工の予定だった。中国の習近平国家主席の2015年9月22日からの米国訪問に合わせたかのように大々的に発表された提携だったが、わずか9カ月ほどで提携は終了することになりそうだ。環球時報も「米国国内における米中企業の高速鉄道計画が流れてしまう危機だ」と伝えている。

 国を跨いだ事業にはトラブルがつきものであり、特に高速鉄道のような巨大なインフラにおける事業ともなれば、すべてが順風満帆に進むほうが珍しいと言える。中国ではこれまで「中国高速鉄道の輸出は順調であり、米国進出も間近」などと主張するメディアも少なからず存在したが、ベネズエラの高速鉄道計画もすでに頓挫したことが明らかとなるなか、米国での計画も頓挫となれば、中国側にとっては大きな「失望」と「落胆」につながるものであるに違いない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)