死亡時に飲酒していた自殺者の比率は不況時に上昇(shutterstock.com)

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 最近、終電間際の商店街を歩くと、居酒屋系の閉店時間が早まりつつある傾向に気づく。若い層の酒離れや飲みニケーション嫌い、家呑み志向や折からの不況風で、「続けられているのが不思議......」と他人事ながら行く末が気になるような店も少なくない。

 一方、トランプ旋風で揺れる米国内でも「飲酒と不況」の関連性をめぐる関心は高いようで、最近の研究報告からも「景気後退時の大量飲酒」が男性の自殺リスクを高めている可能性が判明。

 リーマン・ショックの余波と後遺症がいまだ記憶に新しい米国では、以前から国内の自殺リスク上昇と景気後退の関係自体は研究され、その可能性については少なからず論じられてきた。

 そこでもう少し踏み込んで実態に迫るべく、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会福祉学教授のMark Kaplan氏らが腰をあげた。不朽のカラオケ人気曲「酒と涙と男と女」ならぬ、西海岸発「酒と不況と男と自殺 」の調査結果やいかに!?

辛いから飲むのか、飲むから死にたくなるのか

 それこそ1930年代の大恐慌時代から、巷間交わされてきたであろうこれらの相関関係は、実際の数値に表われるのだろうか? 研究班はまず16州のデータを分析し、下記の3期別における自殺者と一般集団の飲酒状況を比較検討した。

 ▼2005〜2007年(05年8月:ハリケーン・カトリーナが発生)
 ▼2008〜2009年(08年9月:リーマン・ショックが起きる)
 ▼2010〜2011年(11年10月:ウォール街を占拠せよ(Occupy wall Street)デモ)

 その結果、死亡時に飲酒していた自殺者の比率は、やはり「不況時に上昇」の傾向を表わしていることがわかった。

 その上昇率は男性層に顕著で、男性自殺者の大量飲酒は、一般集団の場合よりも確実に増加が認められた。一方、女性自殺者の大量飲酒に関しては、一般集団と同じで目立った違いをみせなかったようだ。

 なお、今回の知見は、大量飲酒が男性の自殺を引き起こすことを証明しているわけではない。ただし、Kaplan氏はこう話す。

 「我々の研究結果は、景気後退時において男性の自殺リスク因子として飲酒が影響を及ぼし、重要性が高まる点を示していると思う。しかも不況下では、全体的な飲酒量が減少傾向を見せるのが一般的。ところが、不景気の影響を直接受けた人々の間では、大量飲酒の総量が増している」
トランプ氏の得票率が高い地域は白人の死亡率も高い?

 Kaplan氏らの報告は『Alcoholism: Clinical and Experimental Reseach』(2016年7月号)に掲載された。

 「意外だったのは、死亡時に酔っていた自殺者が、必ずしも自殺前からアルコール依存症であったとは限らない点です。その点から、景気後退時には失業者支援プログラムと並び、アルコール抑制政策の重要性や飲酒関連自殺の低減可能性も読み取れます」

 6月1日、米国疾病予防管理センター(CDC)は国内の死亡率が「10年ぶりに上昇した」事実を公表した。とりわけ薬物中毒やアルコール中毒絡みが上昇理由を大きく左右し、白人層の「絶望死」と呼ばれる自殺の増加が問題視されている。

 また、アメリカ大統領選共和党候補のドナルド・トランプ氏の得票率が高い地域は、人口に占める白人の死亡率も高いという奇妙な一致が見られるそうだ。

絶望状態でも幸福環境でも酒量はほどほどに

 一方、「酒の飲み過ぎでした。奥さんと愉しんでたつもりが......」と、5月の4公演キャンセルの原因を自ら明かしたのは歌手の玉置浩二さん(57)だ。結果、過去2回も患った大腸憩室炎を抉らせて24日間の入院を強いられた。

 「そこで酒を断ちました。ありがたいことにウチの奥さん(=青田典子さん)もやめてくれた。やはり奥さんが飲んでたら、飲みたくなるからね」と、6月2日の復帰公演後に笑顔で談話した玉置さん。

 結婚と離婚をくり返した末、青田さんと結ばれて私生活もソロ活動も今が絶頂期の天才アーティスト。彼の場合は「幸せ酒」なんだろうがやはり「大量」は良くないですね、玉置さん。
(文=編集部)