筋肉美に定評のある女優の秋元才加(2013年撮影)

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「健康美」とよくいうが、こと女性の場合は「健康的に見える体型」と「魅力的に見える体型」が異なることがわかった。魅力的な体型は、健康を度外視するほどやせた体を理想とし、「健康=美」という図式が成り立たないのだ。

一方、男性では「健康的な体型」と「魅力的な体型」は一致した。ユニークな方法で研究をまとめたのはオーストラリア・マッコーリー大学の心理学のチーム。米科学誌「プロスワン」(電子版)の2016年6月3日号に発表した。

オトコの体脂肪率は「健康美」と「筋肉美」が一致

体の健康と美しさに対する意識の男女差を探るために、研究チームは「体脂肪率」を分析の方法に用いた。具体的な数字で比較できるからだ。18〜30歳までの若い白人男女63人(平均年齢21歳、男性33人、女性30人)を対象に、コンピューター画面に自分の写真を映し出し、コンピューター・グラフィックス(CG)を使って理想の体型に変えていく実験を行なった。理想の体型とは、「自分が最も健康的に見える体」と「自分が最も魅力的に見える体」の2つである。具体的には次の方法で実験を行なった。

(1)参加者全員の身長、体重、体脂肪率を測定する。

(2)参加者全員に、体の線が出るピッタリしたランニングシャツとショートパンツを着てもらい、正面を向いた全身の写真を撮る。

(3)コンピューター画面に自分の全身の写真を映し、CGを使って自由に筋肉や脂肪を増減して体型を変え、自分が最も「健康的な体」と「魅力的な体」と感じる姿に仕上げていく。

(4)作業中に、画面の横には筋肉・脂肪量に応じた体脂肪率が表示される。

この結果、男性では「最も健康的に見える」体脂肪率の平均は約16%で、「最も魅力的に見える」体脂肪率の約15%とほぼ同じだった。ところが女性では、「最も健康的に見える」体脂肪率が約19%なのに、「最も魅力的に見える」体脂肪率は約16%とかなり低かった。

従来の研究では、健康な白人の体脂肪率は、男性が8〜21%、女性が21〜33%とされている。今回の結果では、男性は両方ともその範囲に入っているが、女性は両方とも入っていなかった。特に「最も魅力的に見える」体脂肪率の16%は、体を鍛えているアスリートならともかく、一般の女性では「やせすぎ」に入る。体脂肪率が18%を下回ると、排卵がとまる女性の割合は半数以上にのぼるといわれ、15%を切ると妊娠そのものが難しくなるという。

ちなみに、「16%」や「19%」という体脂肪率とは、どんなイメージの女性なのか。体脂肪率に関する健康サイトをのぞくと、マラソン選手や腹筋が浮き出たフィットネスモデルの体脂肪率が15%前後だそうだ。15〜17%では、全身の血管や筋肉がクッキリ浮かび上がる。20〜22%では、適度に腹筋が割れながらも女性らしいふくよかさがあり、プロのダンサーたちの体脂肪率が20%代前半だといわれる。

鍛え上げた榮倉奈々が18%、秋元才加が14%

日本の芸能人では、榮倉奈々が映画「図書館警察」のアクションシーンのために鍛え上げた時の体脂肪率が18%、また東京マラソンにも出場、腹筋が6つに割れて筋肉美に定評のある女優の秋元才加が14%と、それぞれテレビやブログで告白している。だから、「16%」という数字は、一般女性では相当鍛えるか、過酷なダイエットをしないかぎりあり得ない数字なのだ。

研究チームのメアリー・ブライアリー博士は「男性では、健康と魅力の体脂肪率がともに健全な範囲に収まりました、女性ではともに不健全な結果となってしまいました。女性がやせる傾向を好むことは予想していましたが、特に魅力の面でこれほど低い体脂肪率を理想とするとは思ってもいませんでした。やせた女性を美しいとする文化、メディアの影響が女性の健康をむしばんでいるのです」とコメントしている。