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Microsoftが注力するSQL Server 2016は、既報のとおり2016年6月1日にリリースした。これに先立つ3月には、現在リリース中のデータベースプラットフォーム「SQL Server 2016」を大きくアピールするイベント「Data Driven」を開催している。スマートフォン向けアプリケーションのバックエンドでもDBMS(データベース管理システム)が用いられるように、ビッグデータ時代を迎えた現代はDBMSの重要性がさらに増している。同社がSQL Server 2016に注力する理由も理解できるだろう。

MicrosoftはGartnerが2015年10月に発表した「Magic Quadrant for Operational Database Management Systems」を引用し、DBMSの巨人だったOracleを追い抜いたことを強調している。Microsoft Principal Group Program Manager for SQL Server coreのLindsey Allen氏は、「DBMSのリーダーであると同時に(IT)業界のリーダーを目指す」と訪日した際に述べていた。

さらに同じ記者会見では、日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 部長 斎藤泰行氏も、Oracleが「Oracle Database SE1」の提供を終了し、2015年9月から値上げを行ったことを引き合いに、「顧客からも、そろそろSQL Serverで行きたいという声を頂く」と説明。「我々は本気でSQL Server 2016への移行をうながし、負のスパイラルから脱出させたい(斉藤氏)」と特別ライセンスオファーの提供をアピールしている。

公式ブログでは、SQL Server 2016を指して「世界最高クラスの処理速度とコスト効率を誇るHTAP(ハイブリッド型トランザクション/アナリティカル処理)を実現したデータプラットフォーム」と表現している。SQL Server 2016は更新可能なインメモリー列ストアや、R言語と連携した高度な分析機能を備えることで、分析処理モデルや機械学習モデルをデータベース上で展開し、従来型と比べると100倍以上の処理速度を実現。今後加速するデータ分析分野に欠かせない存在になることは明白だ。

MicrosoftはSQL Server 2016のパフォーマンスについても以下のようにアピールしている。Intel Xeon E7×4を搭載したPC上で100TB(テラバイト)のデータウェアハウスに対し、意思決定支援システムの性能を測定するRDBMSベンチマーク「TPC-H」で生成した複雑なデータベース構造を1.6TB(テラバイト)/時の読み込みを実現。100TBのデータベース全体に対する複雑なクエリ実行はわずか5.3秒と大幅に短縮した。一般的にクエリを同時実行するとDBMSの応答性は低下しがちだが、下図のように連続実行(TQ1〜TQ7)よりも同時実行した方が短くなることからも、パフォーマンスの向上を実現している。

その1例としてAllen氏が紹介したのは、「Sloan Digital Sky Survey」である。25パーセント以上の宇宙を観測し、銀河やクェーサーなどの天体位置などを測定し、詳細な宇宙の地図を作りあげるプロジェクトだが、開始前は20万枚のフォトデータが、開始後は2億2千万枚とデータ1,000倍に増加。テーブル内には約5TBのフォトデータを格納しているが、SQL Server 2016を用いることで、これらのデータは2秒程度で検索できるという。さらに参照性の低い2006年以前のデータはMicrosoft Azure上に待避させることで、データ格納の効率性と拡張性の維持を実現している。先の公式ブログでは住宅情報提供と分析を手掛けるRealtyTracや、大手オンライントレードサービスのSaxo Bank、SaaS EIMベンダーのM-Filesによる導入事例を紹介しているので、興味がある方はご覧頂きたい。

MicrosoftのDBMS戦略はプラットフォームにとどまらず、クラウドファースト時代のDBMSとなる「Azure SQL Database」を提供し、OSS(オープンソースソフトウェア)との融合を示す「SQL Server on Linux」を2017年半ばリリースを目指して開発を進めている。

特にSQL Server on LinuxについてMicrosoft EVP Cloud and Enterprise GroupのScott Guthrie氏は、「SQL Server on Linuxは今後コミュニティや顧客、パートナーと協力しながらGA(General Availability)に向けた取り組みを進めていく」と公式ブログで述べていた。Microsoftの多方面戦略はOne Windowsによるプラットフォーム化や、クラウド分野でのマルチデバイスへの対応に並行し、DBMSの分野でも"SQL Server"というプラットフォーム構築に突き進んでいる。

阿久津良和(Cactus)

(阿久津良和)