深圳という「シリコンヴァレー」、そのドキュメント

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世界最大の電子部品街「華強北路」を擁する中国の深圳を描く、『WIRED』UK版のドキュメンタリー動画。人口2,000万人の同市では、スタートアップ企業の支援から模造品の製造まで、すべてが高速で動いている。

『WIRED』UK版は、ドキュメンタリー動画シリーズ「未来の都市」初の作品として、中国テクノロジー業界の中心都市、深圳を取り上げた。

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深圳市は、もともと中国南部の静かな農業地帯だったが、1980年代から90年代にかけて、出稼ぎ労働者が深圳市の工場に来るようになり人口が激増した。中国共産党の指導者たちが行った経済政策改革により、「深圳経済特区」と定められた地域に多くの工場が建設されたのだ。

現在、人口2,000万人に達する巨大都市となった深圳は、驚異的なスピードで電子電気製品を製造する街として有名になった。その中にはメジャーなメーカーの模造品も多い。

「深圳でなら、ほかでつくる10倍の速さでハードウェアのプロトタイプをつくることができる。そのことが理解されたのです」と、監督のジム・デムースは『WIRED』UK版に語る。

その速さの理由のひとつは、ありとあらゆるパーツが揃う巨大な電子部品街「華強北路」(ファーチャンペイ)で、部品販売業者がお互いに協力していることだとデムース監督は気がついたという。

スマートフォンの画面を修理するショップのオーナーが、壊れたiPhoneを4、5店の部品販売店に送る。それぞれの店に専門分野があり、ある店では画面を取り外し、別の店ではスチームプレスを使って新しいディスプレイを取りつける。iPhoneは経由した店から戻ってきて顧客に返却される。顧客が払った13ポンド(約2,000円)は、画面修理ショップのオーナーが、修理に関わった販売店に分配する。

中国語では、模造品をつくる行為を「山寨(shanzhai)」と言う。

デムース監督によると、中国では知的財産の概念が、欧米におけるそれと同じ意味を持たないという。

ドキュメンタリー制作に貢献したひとり、バニー・ファンは、「中国人が持つ”知的財産を共有する”という考え方の奥には、多くのことを可能にする力がある」と述べる。同氏は、欧米の技術革新の原理が、中国のビジネスモデルとぶつかり合ったとき、新たなパラダイムシフトが起こる可能性があることを示唆した。

ドキュメンタリーでは、世界初のビジネスという「ハードウェアアクセラレーター」を提供するHax Hardware Accelerator社も取り上げている。同社は、実証済みのプロトタイプをもつ世界中のスタートアップ企業に10万ドルを支援し、製品化して市場に送り出すサポートをしている。

たとえば、Hax社が支援するスタートアップのひとつであるRovenso社(本社スイス)は、廃炉になった原子力発電所の解体に利用できるロボットを製造している。あるいは、それぞれの好みに合わせて音質を調整できるヘッドフォンで、「Kickstarter」で63万ドルを集めた「Nura」なども、Hax社が支援するスタートアップだ。こうした会社は、製品開発を深圳で行うことで、その速度を高速化できるのだ。

※ 冒頭動画は、ドキュメンタリーのトレイラー。以下は、ドキュメンタリーのパート1。