就労状況にある女性の57%が非正規雇用という現代。非正規雇用のなかで多くの割合を占める派遣社員という働き方。自ら望んで正社員ではなく、非正規雇用を選んでいる場合もありますが、だいたいは正社員の職に就けなかったため仕方なくというケース。しかし、派遣社員のままずるずると30代、40代を迎えている女性も少なくありません。

出られるようで、出られない派遣スパイラル。派遣から正社員へとステップアップできずに、ずるずると職場を渡り歩いている「Tightrope walking(綱渡り)」ならぬ「Tightrope working」と言える派遣女子たち。「どうして正社員になれないのか」「派遣社員を選んでいるのか」を、彼女たちの証言から検証していこうと思います。

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今回は、都内で派遣社員をしている杉元真由美さん(仮名・32歳)にお話を伺いました。真由美さんは、四国にある国立大学を卒業後、広島で就職。大学時代は広告研究会に所属し、マスコミの仕事を目指していました。卒業後は念願が叶い、タウン誌の編集の仕事に就きます。しかし、編集の仕事は思っていた以上にハードで、実家のある徳島に戻ります。

 「タウン誌の仕事は取材からライティングまで任されていてやりがいがあったのですが、私より下手な文を書くライターが、巻頭ページを任されていたり。そういうのが気になって鬱になってしまいました」

あっさり希望職だった編集を辞めてしまった真由美さん。

「地元の飲食店でフリーターをしながら、ブログを書いていたりしていました。徳島にいても刺激がないと言うか。通っていた文章教室の講師に褒められたのをきっかけに、ライターズスクールに通うために上京しました」

しかし、真由美さんは夢をかなえるために上京したはずなのに、マスコミとは別の業種に就職します。

「とりあえず、正社員ならどこでもいいと思ってマナー研修などを行なう会社に入社しました。なんとなく業績が悪化してるような気配があったのですが、保険に加入できないと言われたり、給料の振り込みが遅配するようになって、入社して1年でリストラにあいました」

不運としか言いようがない突然の解雇。そこで出会ったのが「派遣」という働き方だった。

「生きていくために、色々な会社を受けたけどどこも受からなくて。派遣はどうだろうって探してみたら、給料面も正社員で働いていた時とあまり変わらないと気づいて」

真由美さんのように、地方大卒に立ちはだかる就職難という壁。

「こっちに出てきて、“徳島ってどこ?”って言われた事、何度もあります。最近は面倒なので、少しの間住んでいた“広島出身”と言ったりします。一応、国立大を出ているのですが、全然意味がなかったですね。東京に来たら聞いたことがないような私立大がいっぱいあるし、自分より物を知らない人も多いのに正社員で働いてたり」

真由美さんと話していて感じるのは、地元ではエリートだったというプライド。

「最初に派遣された会社が凄くよい雰囲気の会社だったんですよ。不動産業界の事務で。でもエクセル得意でもなかったのに、膨大なデータを見なければならなくて。計算式ができないので、全部紙に書いて計算した数字を入力していました」

下手なプライドが邪魔をして、わからないことが聞けない。1社目の派遣先を最初の雇用契約である3か月で終了した真由美さん。マスコミに就職したいと言う夢をかなえるために上京してきたはずなのに、現実はどんどん希望と離れていきます。

「とりあえず、次の派遣先が決まるまで地元のスナックで働きはじめました。一応、2時まで待機する約束になっていて、歩合なのでお客さんがいなかったら23時以降は時給が発生しないんですよ。無駄だなと思いながら、結構ぎりぎりの時間に来る人もいるので続けています」

マスコミで働きたい夢と現実の状況……。

ライターになりたいと言う夢を叶えるために真由美さんが選んだ道は? 〜その2〜に続く。