中国メディアの未来網はこのほど、かつて「メード・イン・チャイナ」が有していた市場統治力が、廉価な労働力や資源コストを誇る「メイド・イン・ASEAN」に移りつつあるとする記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディアの未来網はこのほど、かつて「メード・イン・チャイナ」が有していた市場統治力が、廉価な労働力や資源コストを誇る「メイド・イン・ASEAN」に移りつつあるとする記事を掲載した。

 記事は米国の大手スポーツ用品メーカーやイタリアの高級ファッションブランドのOEMメーカーである東莞興昂鞋業が2016年初めに中国での生産を停止、生産拠点を東南アジアに移動させることを発表したことを紹介。またサムスンも一部のスマートフォンの生産をベトナムで行うことを発表したと紹介した。

 続けて、多くのメーカーが中国からASEAN諸国に生産拠点を移動させている理由について、中国の人件費が東南アジア諸国に比べて高いこと、また高額な資金調達コストや物流、電気、油などのコスト上昇なども「無視できない」原因であると指摘した。こうした現象について中国のある大学教授は「伝統的な機械製造や紡績などの分野において、中国とASEANには間違いなく生産能力の競争が存在する」と指摘している。

 また記事は業界関係者の見解を紹介、「東南アジアのいくつかの国は中国から生産能力を導入するだけではもはや満足せず、むしろ中国の人材や技術さえ導入して、メイド・イン・ASEANをグレードアップするための道具として利用する傾向がある」と指摘。今後、中国国内では「産業の空洞化」が生じる可能性があると警戒感を示した。

 こうした事態への対策として、中国国内の製造業の構造転換と高度化を推し進めること、また中国とASEAN諸国の協調機構を悪性の競争が生じないように高度化することを記事は提案している。記事はこれを「ダブル・グレードアップ」と呼んでおり、中国が産業の空洞化を回避するために「避けては通れない道」であるという見方を示した。

 産業の空洞化とは、国内企業の生産拠点が海外に移転することにより、その分野における国内産業が衰退していく現象のことだ。安価な労働力を誇る中国の台頭により、1990年代の日本においても同問題が顕在化した。産業の空洞化が進むことによる問題としては、特定分野の産業が衰退することにより地域経済が衰退することや経済成長率の低下を招くこと、また国内の雇用機会の減少などがある。中国は製造業の高度化が実現する前に産業の空洞化が進むリスクに直面している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)