本格的な夏を迎える前にウインタータイヤについて記すなんて、時期尚早かもしれません。しかし9月にもなればもうタイヤメーカー各社から、次なる冬へ向けての新作スタッドレスタイヤが姿を現し始めます。その時流に乗り遅れないためにも、今、あらためて愛車の年間タイヤ計画を練っておきたい。というのも、真夏のドライブから極寒の雪道まで、1年を通して履きっぱなしにできるタイヤが存在するからです。

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それがオールシーズンタイヤです。日本では「冬季のタイヤ=スタッドレスタイヤ」のように考えられていますが、スタッドレスの源流を辿れば、スノータイヤに鋲(びょう)を打ち込んだスパイクタイヤ。凍結路面では絶大なトラクション力を発揮しましたが、舗装路面に対しての攻撃性が高く、削られたアスファルトによる粉塵公害も少なくありませんでした。そこで、鋲のないタイヤが求められます。「鋲=スタッド」ですから、スタッドのないタイヤ、これこそがスタッドレスタイヤです。つまり、スタッドレスはスパイクタイヤを進化系でありスノータイヤの1種と考えることができます。

そして、スタッドレスを含むスノータイヤ界にあって、もうひとつ主格を成してきたのがオールシーズンタイヤです。日本ではなじみの薄い存在でしたが、ヨーロッパや北米では新車に純正採用されるほどの市民権を得ています。気候の変化が激しかったり、地続きで国をまたいでいきなり積雪地帯へ踏み入れるような大陸的な環境では、オールシーズンタイヤって重宝されるようです。

ここ日本は、ちっぽけな島国で道路網も整備され、スマホを駆使すれば天気予報もリアルタイムでばんばん届く。ごく一部の地域を除いて、通年を通して雪に備える必要はありません。だからこそ逆に都心部では、年に数度のわずかな雪で交通機関が麻痺するほど脆弱な一面も。今では都心部でも「冬はウインタータイヤへ履き替えて積雪に備えを」という世論になっています。かといって、年に多くても数回しか出番のない、ただそれだけのためにスタッドレスに履き替えるのはナンセンス。と、考えている方も多いでしょう。狭き日本なだけに、使わないタイヤを保管しておく場所だって考えなければいけません。

だからこそ、日本の特に非積雪地帯に住むユーザーにとって、逆にオールシーズンタイヤという選択肢はアリなのかもしれません。年に数度だけウインタースポーツへ繰り出すといった使い方もOK。積雪路や凍結路における絶対的な性能こそスタッドレスには及びませんが、そのことを頭に入れて安全運転すれば、道路が整備された日本では不便や危険を感じることはないでしょう。

ちなみに日本で買えるオールシーズンタイヤのうち、注目なのはグッドイヤーの「Vector 4 Seasons(ベクター フォーシーズンズ)」でしょう。日本でのオールシーズンタイヤのイメージはM+S(マッド&スノー)、あくまでも浅雪用であり本格的な雪では走れない気休めのようなもの、ではないでしょうか。しかしVector4Seasonsは、雪道でのブレーキ性能やトラクション性能は立派に欧州で冬用タイヤの基準を満たしたと認定されて、サイドウォールには「M+S(マッド&スノー)に加えて、スノーフレークマーク」の文字が刻印されています。日本においてもチェーン規制の道も胸を張って通ることができて、肝心要となる雪上での走行性能も安心できるものです。

なにより速度域が高くて走行距離も多い欧州で鍛えられただけに、ドライ、ウェット問わず非積雪路面での性能もなかなかのもの。路面状況の変化に左右されない、安定した性能は「オールシーズンだから走行性能や質感は二の次」という先入観を覆してくれます。

今冬のタイヤはどうしようか、と悩んでいる方。もし、サマータイヤ自体が履き替える時期に来ていたら、もう冬を待つこともありません。今からでもオールシーズンタイヤに履き替えて「まずは夏場の性能を試してみる」なんて、なかなかいい選択肢ですね。

(文:中三川 大地/写真:小林邦寿)

【関連リンク】
日本グッドイヤー株式会社
http://www.goodyear.co.jp/index.php

Vector 4 Seasons 製品ページ
http://www.goodyear.co.jp/products/tires/4seasons/4seasons.html

夏が来るけど冬も来る! 一年中履きっぱなしOKのオールシーズンタイヤって?(http://clicccar.com/2016/06/09/377049/)